234:にゃんこ[saga]
2012/03/13(火) 18:00:24.51 ID:j2MHioAf0
元の世界に戻れない。
元の生活に戻れない。
考えたくない事だった。
そんな事、認めるわけにはいかなかった。
でも、和だって、簡単にそんな事を口にしてるはずが無かった。
私は和の言葉を否定したくなるのを必死に我慢して、ただ口の中を強く噛む。
和が星空から目を離し、私の方に振り返って続ける。
「ねえ……、律は運命って変えられると思う?」
唐突な質問だった。
和が何を言おうとしてるのかは分からなかったけど、私は考えてみる。
どうなんだろう……?
運命ってのは変えられるもんなんだろうか?
そもそも、運命ってのは何なんだ?
よく運命は変えられるって言葉を漫画やドラマなんかで言ってるのを見る。
それはそれで立派な信念だと思うけど、変えられたら運命でも何でもないよな、とも思う。
運命ってのはずっと決められてた道筋を辿る事……でいいはず。
唯達と軽音部をやって来れたのは嬉しいし、
運命だと思ってたけど、それを認めるって事は運命の存在を認めるって事になる。
運命の存在を認めるって事は、運命は変えられないって事を認めなきゃいけない。
じゃあ、運命は変えられないってのが私の意見か?
いや、そうでもない気がする。
運命が決まってるって事は、
私が自分で決めたって考えてた事も、運命に仕組まれてたって事になる。
何処かの誰かに仕組まれた道程を勝手に歩かされてたって事になる。
それは……、嫌だ。
運命を感じる事は確かにある。
でも、自分のして来た事が何もかも誰かに仕組まれてたなんて、そんなのは嫌だ。
皆と仲良くなれたのが、全部他の誰かのためにさせられてきた事だったなんて……。
「分からない……」
結局、私は和に対して、そんな言葉を呟く事しか出来なかった。
やっぱり、私にはまだ分からない事だらけだ。
私の様子を見て、和は何故か少しだけ微笑んでくれた。
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