過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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250:にゃんこ[saga]
2012/03/20(火) 19:10:23.03 ID:wzOF41Z10
とても優しい表情で、澪が続ける。


「それ以上は言わないでくれよ、律。
律が私に謝りたいって思ってくれるのは嬉しいけど、
私だって律に謝りたかったんだ。もっともっと謝りたいんだ。
でも、それは二人のためによくない事だって思うんだよ……。

だからさ、これでお相子って事にしないか?
私も律もお互いに謝りたいんだけど、
それを我慢する事がお互いへの本当の謝罪って事にしてさ。
それが一番いいって思うんだけど……、どうかな?」


言葉が出せなかった。
何だよ……、澪のくせに一番いい解決策出してくれやがって……。
一番先に怯えてたくせに、カッコいいじゃんかよ……。
いや、一番先に怯えてたからこそ、かな。
澪は弱い。怖がりだし、人見知りだし、すぐに逃げ出す。
でも、だからこそ、一番先に恐怖に向き合えるんだと思う。
特に澪は追い込まれてから実力を発揮する奴なんだ。
追い込まれてから、立ち直って、強くなるタイプなんだよな。

追い込まれると弱い私とは正反対だ。
普段こそ澪を引っ張ってる私だけど、
色んなピンチの時には澪に助けてもらってた。
どっちがいいって話じゃない。
そういうのが私達の長い付き合いの中で築き上げて来た私達の関係ってやつなんだと思う。

私はまた寝転がってから、静かな風に吹かれながら空を仰いだ。


「そっか……。そうだな……。
ごめ……、いや、ありがとな、澪……」


それ以上は何も言わなかった。
何も言えなかったし、何も言わない方がよかったんだろうと思う。
ただ、軽く手を伸ばすと、澪はその私の手に指を絡めてくれた。
澪と手を繋ぐなんて本当は恥ずかしいはずなのに、不思議とそんな事は感じなかった。
凄く自然に、子供の頃みたいに手を繋げた。
澪の手の温もりを感じる。
澪も私の手の温もりを感じてるはずだ。
多分、それでよかった。

また二人で言葉を止める。
今度は失ったわけじゃない。
何も言わない時間を過ごそうと思っただけだ。
静かな時間を澪と過ごしたかった。

どれくらい経っただろう。
風に吹かれ、
星空を見上げ、
お互いの体温が一体化する感覚に気づき始めた頃、
私は不意に澪とまた話したくなった。
夜空を見上げたまま話そうと口を開いた瞬間、
私の言葉は先に言われた澪の言葉に止められてしまった。
どうも二人とも同じ気持ちだったらしい。


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