262:にゃんこ[saga]
2012/03/22(木) 14:06:41.70 ID:uTBomnnF0
「いや、大した事じゃないんだけどさ、
最近、憂ちゃんは和の事を『和ちゃん』って呼んでるよね?
これまでは『和さん』だったはずなのに、どうしてなのかなって思ったんだ。
呼び方なんて個人の自由なのに、変な事気にしちゃってごめんね」
私の言葉が終わると、憂ちゃんが苦笑した。
私の質問に苦笑したって言うより、
自分自身の変化にやっと気付いたって感じの苦笑だった。
苦笑しながら、憂ちゃんが私の質問に応じてくれる。
「あ、そうですね……。
律さんに言われるまで気付きませんでした。
そういえば私、律さん達の前では和ちゃんの事を『和さん』って呼んでましたよね。
いいえ、ほとんどの人の前では、『和さん』って呼ぶようにしてたんです。
それこそ、お姉ちゃんの前でも……。
流石にそれはお姉ちゃん相手でも恥ずかしいですし……。
だけど……」
「だけど?」
「本当は私、やっぱり和ちゃんの事は『和ちゃん』って呼びたくて……。
だから、親しい人の前だと、その呼び方になっちゃうんだと思います。
実は私、梓ちゃん達の前じゃ、結構『和ちゃん』って呼んでたんですよ。
つまり……、えっとですね……」
珍しく憂ちゃんが言葉を詰まらせる。
視線をあちこちに動かして、顔を少し赤く染めてるみたいだった。
多分、照れてるんだろう。
憂ちゃんが照れるなんて、滅多に無い事でとても新鮮だ。
親しい人の前じゃ呼び方が変わっちゃう……。
確かにそういう事もあるだろう。
特に憂ちゃんは分別のある子だから、
年上の人に対する呼び方にはすごく気を使ってるはずだ。
私達なんかずっとさん付けで呼ばれてるしな。
考えてみれば、ほうかごガールズは憂ちゃんの親しい人間ばかりで構成されてる。
同級生の梓、純ちゃん、幼馴染みの和。
これだけ親しい人間が揃えば、徹底してた呼び方もつい変わっちゃうってもんだ。
私だって気を抜くと、澪の事をたまに『澪ちゃん』って呼びそうになるしな。
ううむ、幼い頃の習慣と言うやつは恐ろしい……。
まあ、高校生にもなって、
さわちゃんの事をママと呼んじゃった事がある澪には敵わんが。
私は静かに微笑んでから、憂ちゃんに軽く頭を下げた。
「そっか、ありがと、憂ちゃん。
何か恥ずかしい事を訊いちゃったみたいでごめんね。
そうだよね、やっぱり幼馴染みくらい自分の好きな呼び方で呼びたいよね。
唯の前じゃ和ちゃんって呼びにくいってのも分かるな。
……そうだ!
変な事訊いちゃったお詫びに、私の事もりっちゃんって呼んでくれていいよ!」
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