275:にゃんこ[saga]
2012/03/24(土) 18:58:36.46 ID:J932UPGH0
勿体無いな、と思う。
梓はあんなに素敵な演奏をしてるし、
歌の特訓をして上手くなってるらしいのに、
緊張でその力を出せなくなるなんて物凄く勿体無い。
何とかしてやりたいな、と感じた。
梓のためだけじゃなく、私のためにもだ。
私だって完璧な状態の梓の歌と演奏を聴きたいんだ。
最高の演奏を澪達に届けてやりたいんだ。
だから、私のためにも、梓の悩みや緊張を何とかしてやりたくなった。
「なあ、梓……」
ドラムの椅子から立ち上がり、私は梓の近くに歩いていく。
純ちゃんに場所を譲ってもらい、軽く梓の頭に手を載せた。
少しだけ撫でてやる。
「緊張するのは分かる。
私だって歌はあんまり得意じゃないから、梓の気持ちは分かってやれるつもりだ。
でも、やっぱりさ……、緊張なんかで実力を出し切れないのは悔しいだろ?
特に梓はギターは完璧に弾けてるわけだしな。
緊張するってんなら、緊張しなくなるまでずっと付き合うからさ。
だから、そうだな……。
そんなに縮こまらずにもっと前を向いて、自分を解放してやってくれないか?
ほら、今から歌う歌は丁度『翼をください』だろ?
この歌の歌詞みたいに翼をもらって、背中に翼を生やしてさ、
空を飛んでくくらいの気持ちで開き直って、思いっきり歌ってやってくれよ。
その結果がもし下手な歌だったとしても、私は構わない。
緊張して、自分の実力を出せないって悲しい事だけはやめようぜ。な?」
上手く言えたつもりはない。
だけど、折角特訓した梓の本当の歌声が聴けないのは、私だって嫌なんだ。
だから、精一杯思い付く限りの言葉を梓に届けた。
その内の一つでも梓の心に届けばよかった。
幸い、私の言葉に憂ちゃんや純ちゃんも頷いてくれているみたいだった。
二人で駆け寄って、梓に優しい視線を向ける。
そして、和も優しく微笑みながら、梓に言葉を届けてくれた。
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