283:にゃんこ[saga]
2012/03/26(月) 17:47:12.63 ID:a4DBpTkb0
◎
「これで全部だったよね?」
「多分なー。ま、足りない物があったら、また取りに行きゃいいだろ」
「うわっ、りっちゃん適当だー」
「うっせ。
だったら、今この場でリュックサック開けて中身確認するか?」
「勘弁してであります、りっちゃん隊長!」
「分かればよい、唯隊員。今後も精進せい」
「は、光栄であります!」
私が隊長っぽく言ってやると、唯が敬礼みたいなポーズを取った。
敬礼はいいんだが、何でドイツ式敬礼なんだよ……。
いや、ドイツ式敬礼ともちょっと違うか。
つーか、唯の奴、こういうポーズ取る事多いよな。
癖なのか?
まあ、いいや。
閉ざされた世界に迷い込んで二十日目。
私は久し振りに唯と二人きりで食糧調達に出ていた。
とっくに夏休みも終わってる時期だってのに、妙にまだまだ暑苦しい。
単に残暑が厳しいだけなのか、
それともこの世界を夢見てる誰かが夏の世界しか想像出来てないのか、
そのどちらなのかは分からない。
まあ、別にどっちでもよかったし、
どっちか分かった所で涼しくなるってわけでもないだろう。
それにしても、唯と一緒に食糧調達に出るのは本当に久し振りだ。
生き物の姿が消えてしまって以来、唯は誰よりも憂ちゃんの傍に居ようとしてた。
憂ちゃんの事が心配なのかなって思ったけど、そうじゃないみたいだった。
勿論、唯自身が不安だから、憂ちゃんに付き纏ってるってわけでもない。
見る限り、単純に里帰りで実家に居る妹に会えて嬉しいってだけみたいだ。
しょっちゅう連絡を取り合ってるはずなのに、
やっぱりずっと一緒に住んでるのと比べれば雲泥の差なんだろう。
私だって、実家に戻った時は必要以上に聡に構っちゃったもんな。
聡の奴、しばらく会わない内にかなり身長が伸びてた。
どんどん男らしくなってて、びっくりするくらいだ。
きっと、いつの間にか私よりずっと背が高くなっちゃうんだろう。
何か悔しい。
私だってもっとおっきくなってやりたい。
……けど、年齢的にどうなんだろう……。
いやいや、希望を捨てちゃ駄目だ。
絶対におっきくなってやるぞ!
胸の話じゃなくて身長の話な!
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