285:にゃんこ[saga]
2012/03/26(月) 17:48:06.90 ID:a4DBpTkb0
だけど、その練習の達成状況くらいは知りたかった。
時間だけは無駄にあった事も手伝って、私達の演奏はもうほぼ完成してる。
和のピアノの上達は凄く早かったし、
梓の歌も上手いってほどじゃないけど、人に聴かせられるレベルにはなってきた。
私だってブランクは完全に埋められたと思う。
でも、だからと言って、勝手にライブを開催しちゃうわけにもいかない。
こっちが完璧な演奏を聴かせたいように、
唯達だって私達に完璧な演奏を聴かせたいのは間違いないんだから。
お互いに最高のライブをやってやりたいじゃないか。
でもなあ……、唯達はサプライズのつもりだろうからなあ……。
練習がどれくらい進んでるか教えてくれるわけないんだよなあ……。
前に唯が「サプライズを考えてるんだよ!」って宣言してたから、
サプライズライブは絶対に間違いないんだけどさ。
つーか、内容が何だろうと、
サプライズを宣言しちゃったら既にサプライズじゃないだろう、唯よ……。
まあ、唯にとっちゃ、サプライズの内容が分からなきゃサプライズなんだろうな。
だから、結局は探り合いをしなきゃいけない。
澪やムギは口が固いから、探りを入れるのは必然的に唯になる。
でも、こいつも結構強情なんだよな。
何だかんだと梓には『天使にふれたよ!』を隠し通せたわけだし。
うーん……、どうしたものか……。
私が腕を組んで首を傾げてると、話を誤魔化すためか唯が急に言った。
「そうそう、りっちゃん。
憂の様子はどう?
最近、憂が素っ気無い気がするんだよねー……。
今日も食糧調達に誘ったのに、断られちゃったし……。
どうしよう……、反抗期なのかなあ……?」
その言葉には誤魔化しもあったんだろうけど、本音も混じってるみたいだった。
ちょっと寂しそうな視線を見る限り、本気で私に訊ねたかった事なんだろう。
正直、憂ちゃんの様子に関しては、私も気になってはいた。
勝手な印象だけど、唯と憂ちゃんは四六時中くっ付いてる姉妹ってイメージがある。
それは二人を知る誰もがそう思ってる事のはずだ。
だけど、最近の憂ちゃんの様子と印象は違っていた。
唯からは近付こうとしてるのに、
憂ちゃんは普段の笑顔でそれをかわしていた。
唯の言葉通りなら、今日だって唯の誘いを断ってたみたいだし……。
何か普段とは違う気がするんだよな。
でも、反抗期って事は無いと思う。
一緒にこそ居ないけど、憂ちゃんの口から出るのは唯の話ばかりだ。
憂ちゃんは本当に幸せそうな顔で、唯の話ばかりしてる。
だから、唯が心配する必要は無いはずなんだ。
私は唯の頭に手を置いて、軽く撫でてやる。
唯の不安そうな視線が少しだけ緩んだ。
「心配すんなって、唯。
おまえと一緒に居ない時、憂ちゃんはおまえの話ばかりしてるよ。
音楽を始めてお姉ちゃんって本当に凄かったんだって思いましたって、
お姉ちゃんにみたいに音楽をもっと好きになりたいって、本当に幸せそうに話してる。
だから、心配するな。憂ちゃんはおまえの事が大好きだよ」
「そっか……。そうだよね」
やけにあっさりと唯が頷く。
ただし、ちょっとだけ自信なさげに。
私はもう一度、唯の頭を撫でる。
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