299:にゃんこ[saga]
2012/03/29(木) 19:11:44.52 ID:ijrP8wMy0
タイプは全然違うけど、どっちが優れてるって話じゃない。
要はどっちが自分の性に合うかってだけの話だ。
結局、私の居場所は放課後ティータイムで、
憂ちゃんの居場所はわかばガールズだったんだって事だろう。
急ごしらえのほうかごガールズじゃ、どうしてもその演奏に違和感は生じて来る。
勝手の違いは仕方が無い。
だけど……。
「だけど……」
憂ちゃんの言葉と私の考えが重なった。
ひとまず私は憂ちゃんの言葉に耳を傾ける事にした。
多分、憂ちゃんも私と同じ気持ちなんだろうから。
憂ちゃんは続ける。
「お姉ちゃんと離れて、寂しくて、辛くて……、
お姉ちゃんの事ばっかり考えてて、ある日に私、気付いたんですよ、律さん。
この寂しさも、辛さも、私がお姉ちゃんの事が好きだから感じてる事なんだって。
心と胸が痛いけど、それもお姉ちゃんと離れたから、感じられた事なんだって。
そう思えたら、何だか私の寂しさをそのままにしておくのが勿体無く思えたんです。
この寂しい気持ちは、そのままお姉ちゃんの事が好きだって証拠なんですから。
お姉ちゃんが傍に居ないからこそ、
私にとってお姉ちゃんが本当に大切な人なんだって気付けましたから……。
そんな私だからこそ出来る演奏を、お姉ちゃんに聴いてもらいたいんです。
寂しさや、辛さや……、そんな事を感じられた私だから出来る演奏を……。
それが……、私のやりたい事なんです」
憂ちゃんの決心がこもったその言葉は私の胸に強く響いた。
憂ちゃんはそれだけの決心でライブに臨んでたんだ。
今だからこそ出来るライブをやるために。
寂しさや辛さや切なさを、強さに出来る子なんだ、憂ちゃんは。
この閉ざされた世界の中でも……。
私は微笑んで、感心の溜息を吐きながら言った。
「憂ちゃんは凄いな……。
こんな時でも笑顔で、唯の事を考えて動けてて、凄いよ。
なあ、純ちゃん、憂ちゃん……、
こんな事訊くのも変だけど、正直に言ってくれないか?
演奏しててさ、セッションに違和感……あるよな?」
「そんな事……」
気遣いから否定しようとして、慌てて憂ちゃんが言葉を止める。
私が真剣な視線を向けてる事に気付いたんだろう。
憂ちゃんも真剣な表情になって、私の言葉に応じてくれた。
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