314:にゃんこ[saga]
2012/03/31(土) 18:01:05.89 ID:dC3rBIds0
「吹けないのに口笛っぽい声出さないで下さいよ……、じゃなくて!
一体、どんな写真だったんですかっ?
私にも見せて下さいよー!」
「この写真は封印します」
「それ前言った私の台詞じゃないですかー!」
そう叫びはしたけど、梓は無理矢理私のポケットに手を突っ込んだりはしなかった。
その辺、常識があって、私の気持ちを尊重してくれる後輩で助かる。
本当はそんな梓の願いを叶えてやりたくはある。
でも、悪いとは思うんだけど、そうするわけにはいかなかった。
いくら何でも、この写真を梓に見せてやるわけにはいかない。
思い出すだけで恥ずかしくなる。
私の予感通り、写真には嬉しそうな表情の梓が写ってた。
私にツインテールを引っ張られながらも、幸せな表情の梓が……。
いや、それだけならいい。
それだけなら梓に見せても問題無いし、
「嬉しそうな顔しやがって」ってからかってやる事も出来た。
問題なのは写真に写ってるもう一人の人物……、
つまり、私の表情だった。
写真の中で、私は笑顔で梓のツインテールを引っ張っていたんだ。
それも単なる笑顔じゃなくて、
私にもこんな表情が出来るんだ、って思えるくらいの幸せそうな笑顔で……。
こんな写真見せられるかよ……。
他の誰かに見せられたって、梓にだけは絶対に見せられない……。
うわあああああ!
何か私、今すっごく恥ずかしい!
私ってひょっとして自分で思ってる以上に梓の事が大切なのか?
いや、一人しか居ない後輩だから、
楽しい部活動くらいは経験させてやりたいって思ってたけどさあ……!
……うん、今は深く考えるのはやめよう。
とりあえず、この写真だけは厳重に封印しとかなきゃな……。
「律先輩……?」
写真より私の様子が変な事の方が気になったらしい。
梓が首を傾げながら、心配そうな表情で私の顔を覗き込んで来る。
うっ……、そんな顔されると何か罪悪感が……。
私はわざとらしく咳払いすると、何とか話題を変えてみせる。
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