32:にゃんこ[saga]
2012/01/22(日) 18:48:33.73 ID:ybIj+qay0
「どうかしたの、律?」
ほんの少し私の呟きが聞こえていたらしい。
和が首を傾げ、まっすぐな瞳で私に訊ねる。
私は「何でもないって」と言ってから、和の肩に置いていた手を離した。
私には和の真似は出来ない。
そもそも私と和じゃ性格が違い過ぎるしな。
無理に和の真似をしようとしたって、問題が余計にこじれるだけだろう。
なら、私は自分自身の力とやり方で皆を支えなきゃいけない。
それが私に出来るんだろうか?
まだ、それは分からない。
「あ、ちょっと、律……」
不意に和が呟いて私に向けて手を伸ばしてきた。
何だろう、と私はちょっと緊張する。
和が誰かに触ろうとするなんて滅多に無い事だから、心配にもなってくるくらいだ。
身体を硬直させて和の行動を待っていると、
和は軽く私の頭のカチューシャに手を触れて、その位置を微調整してくれた。
「カチューシャ、ずれてたわよ。
今日は気分で位置を変えてたんなら、悪い事をしちゃったかもしれないけどね」
予想外の和の行動に私は軽く呆気に取られる。
まさか和が私の身嗜みに気を遣ってくれるなんてな……。
そういや、今まで和が私の身嗜みについて注意した事なんて、ほとんど無い。
前にメイド服を着た時に「大体、その格好は何よ?」って叱られたくらいだっけか?
あれはお約束的に私が書類を出し忘れてたから、ってのもあるけど……。
でも、そういう規律に注意を払える和が、どうして今まで私の身嗜みを注意しなかったんだろう。
……あ、そっか。
私もあんまりきちんとした服装をしてるわけじゃないけど、
私にはギリギリ最低のラインの身嗜みをするよう注意してくれてた奴が居たんだったな……。
いつも何故か隣に居てくれた、私自身も隣に居たかった幼馴染みのあいつが……。
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