321:にゃんこ[saga]
2012/03/31(土) 18:07:04.84 ID:dC3rBIds0
「な……っ?」
それ以上、言葉が出なかった。
これまで散々異常事態を経験してきたってのに、
それでも予想だに出来なかった事態に脳が反応し切れてない。
風が止んだ瞬間、気が付けば私達は見知らぬ野外に佇んでいた。
教室も、机も、楽器も、その場にあったはずの物は何一つ存在していなかった。
その場にあるのは着の身着のままの私と澪、唯、ムギ、梓……。
あ……れ……?
何だ……?
何だってんだ……?
今度は何が……、何が起こったってんだ……?
「純……?
何処なのよ、純ーッ?」
梓の声が聞こえる。
そうだ。見当たらない、純ちゃんの姿が。
さっき折角勇気を出して『純』と呼んでみたあの子の姿が……。
それに……。
「憂……?
憂ーっ! 何処に行ったのー? 出ておいでよ、憂ーっ!
出て来てよーっ! 憂ーっ!」
張り裂けそうなほど大声の唯の声が響く。
外だってのに、耳に響くくらいの大声。
でも、返事は無い。姿も存在しない。
唯の大切な妹、そして、私の大切な友達の憂ちゃん……、『憂』の姿も。
更に。
「和! 和ああああああっ!」
長い黒髪を震わせ、喉を震わせて澪が叫ぶ。
キーボードも、和の姿も、その場には無かった。
私達の元生徒会長……、頼りになって、
こんな世界でも私達を引っ張ってくれていた眼鏡の友達が。
三人とも、忽然と姿を消していた。
いや、逆なのか?
姿を消したのは私達の方で、三人は教室に取り残されてるのか?
違う!
そんな事はどうでもいい!
つまり……、つまり、これは……。
「もうやだ!
もうやだああああああっ!」
叫んだのは澪じゃなくてムギだった。
その場に崩れ落ち、大粒の涙を流し、絶叫を始める。
自分も辛いだろうに、傍に居た澪がムギの肩に手を置いた。
でも、それ以上の事は出来てなかった。
澪だって、絶叫したいくらいに怖いはずだ。
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