349:にゃんこ[saga]
2012/04/25(水) 18:28:57.65 ID:sybMAEU90
私はムギと一緒に居たかった。
その気持ちに嘘は無い。
またあの一陣の風が吹いたら……。
そう思うと吐き気がするほど不安になるけど、ムギが傍に居てくれるなら耐えられると思う。
言うまでもなく、私はムギの事が大好きなんだ。
この世界にたった五人で残されちゃって、ムギを大切にしたいって気持ちは更に強くなって来た。
だから、ムギと二人で皆を待つ気にもなれた。
私が怪我をした時、あんなに私を心配してくれたムギだから……。
そんなムギだから、信じられたんだ……。
でも、私自身はムギにそこまで信じられてなかったのかもしれない。
信じさせてあげる事が出来なかったのかもしれない。
それは突飛な思い付きってわけじゃなくて、ずっと前から考えてた事でもあった。
ひょっとしたらムギは寂しがってるんじゃないかって。
私達五人の中で、不安に思ってるんじゃないかって。
ムギは控えめな性格の子だ。
初対面の時より積極的になっては来たけど、まだまだ遠慮しがちな事も結構ある。
一対一で話してる時でもそうなんだ。
軽音部五人が揃った時なんて、ムギは裏方に回って聞き上手に徹してくれてばかりだ。
奇数のグループは難しいって話を聞いた事があるけど、本当にそうなのかもしれない。
一人だけ余っちゃう事が多い、そんな寂しさを胸に抱いてたのかもしれない。
でも、ムギは裏方が好きなはずだ。
私達の給仕をしてくれた時のあの笑顔に嘘は無かったはずだ。
そう……思いたい。
だけど、裏方が好きだからって、
それに甘えてちゃいけなかったって今更になって思う。
ムギとはもっともっと話をすればよかったんだ。
二人きりの時でも、本音で話し合えばよかったんだ。
嘘を吐いてたわけじゃない。
ムギと一緒に居るのは楽しかったし、その時の私の笑顔にも嘘は無かったはずだ。
ただ……、ただ少し……、他の三人よりも気を遣って付き合ってた気はする。
勿論、ムギの事が苦手だったわけじゃないけど、
お嬢様っぽい性格の友達なんてほとんど居なかったから、手探りな感覚で付き合ってたのは確かだ。
唯、澪、梓はスキンシップ的な意味で何度か叩いた事はある。
特に梓相手の攻撃は最近かなり増えて来た気がする。
それはあいつの生意気さがどんどん増して来たからであって、他意は無い。
でも……、ムギの事を叩いた事は、憶えてる限り全然無かった。
一度か……、二度……、多分、そのくらい。
だから、ムギは去年くらい、私に言ったのかもしれない。
「私のこと、叩いてほしいのっ!」って……。
多分、他の皆と同じ様に扱ってほしくて……。
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