360:にゃんこ[saga]
2012/04/29(日) 18:43:10.26 ID:T2Olr24x0
「律先輩……?
大丈夫ですか……?
その……、体調とか……」
梓が私の顔を覗き込んでから、首を傾げて訊ねる。
その梓の表情はとても心配そうで、とても辛そうだった。
いや、多分、辛そうな表情をしてたのは私の方だったんだろう。
だから、梓は心配そうなんだ。
それに気を遣ってくれてる。
私の精神方面じゃなくて、私の体調の方を訊ねるなんて、気を遣い過ぎだろ、梓……。
精神的に辛い時、心の問題に踏み込まれる事ほど、疲れる事は無いもんな。
それを分かってくれてるんだ、梓は。
私はどうにか笑ってみせる。
無理をしてたかもしれないけど、精一杯の笑顔を向けてみせる。
「ああ、心配しなくても、私の体調は万全だぜ?
突然の環境の変化には体調を崩しやすいって言うけどさ、
私もこう見えてかなり頑丈な身体をしてるみたいだから大丈夫っぽいな。
そういや、私って風邪になった事無いしな!」
「もー……、何言ってるんですかー……!
律先輩が二年生の頃、風邪で休んだ事あったじゃないですかー……!」
「あれ? そうだっけ?」
「そうです!」
梓が頬を膨らませて、私の二の腕を軽く抓る。
言われてみればそうだった。
澪と喧嘩したあの頃、確かに私は風邪で休んでた。
私の記憶としては、風邪で寝込んだ時期ってより、
澪と喧嘩した時期ってイメージの方が強かったから、すぐに思い出せなかったんだろうな。
まあ、風になった事無いって言葉は、単なるお約束で言ったようなもんだけどさ。
そういや、前にそんな台詞を言った唯もしっかり風邪になってたしな。
あいつの場合、風邪になった事を憶えてないってのが正しい気がするぞ。
……待てよ?
一回聞いた事がある気がするな。
馬鹿は風邪をひかないんじゃなくて、風邪になっても気付かないんだって話を……。
いやいや!
私は馬鹿じゃない、馬鹿じゃないぞー!
馬鹿なのは唯だけだ!
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