365:にゃんこ[saga]
2012/04/29(日) 18:45:36.37 ID:T2Olr24x0
意外な言葉だった。
梓がそこまで考えてくれているなんて思わなかった。
私の選択肢は最善だったんだろうか?
勿論、最善だと思ったから昨日はそうしたわけだけど、
今日になって不安と喪失感が増して来たのも確かだったんだ。
自分の選んだ道に自信が持てなくなってしまったんだ。
だから、凄く……、凄く怖かったんだ……。
私は三人を見捨てたんじゃないかって。
見殺しにしちゃったんじゃないか……って……。
私が三人を殺……し……。
考えるだけで震えが止まらない。
梓の目の前だってのに、色んな感情が混じっちゃって頭痛や吐き気が私を襲って……。
でも、その震えは梓が私の手を強く握る事で止めてくれた。
まっすぐな視線と、まっすぐな言葉で止めてくれたんだ。
「律先輩が選んだ事……、後悔しないでほしいんですよ……。
それを信じた澪先輩達のためにも、私のためにも……。
唯先輩も……、律先輩の事を悪く言ってませんでしたよ?
「昨日はりっちゃんに迷惑掛けちゃったね」って言ってました。
だから……、私のお願いを聞くって意味でも、後悔はしないでほしいんです……。
純、憂、和先輩じゃなくて、皆で生きていく事を選んだんですから。
律先輩も、私も……、それを選んだんですから……!」
後悔をしちゃいけない。
前に進まなきゃいけない。
私はそれを選んだ。
皆にそれを選んでもらった。
だったら……、迷ってちゃ、駄目なんだよな……。
残された物を……、残された仲間を……、全力で守らなきゃいけないんだ……。
それがきっと私のしなきゃいけない事なんだ……!
私はまっすぐに梓に視線を向ける。
真正面から見つめ合う。
そして、私の手を握ってくれていた梓の手を離してもらうと、
梓の頭を抱えて、あくまで日焼けが痛まないように私の胸の中に軽く飛び込ませる。
軽く梓の肩に手を置いて、なけなしの力を振り絞って言ってみせる。
「ああ……、分かったよ、梓……。
やってやる……。やってやりたい……って思う。
私が選んだんだもんな。
弱音なんか吐いてても、どうしようもないよな。
そんな事してる方が、和、憂ちゃん、純ちゃんに悪いよな……。
……守るよ、絶対。
何があったって、おまえ達だけは絶対に守ってやる……。
それだけが私が和達に出来るたった一つの事なんだな……!」
「……はいっ!
でも、無理だけはしないで下さいよ?
私だって、皆さんを守りたいんですからね!」
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