過去ログ - 律「閉ざされた世界」
1- 20
389:にゃんこ[saga]
2012/05/06(日) 17:05:57.03 ID:i5v7bhML0
「失礼します」


不意にバスルームの扉が開いたかと思うと、聞き覚えのある声が響いた。
私はちょっとびっくりして、つい胸元を二の腕で押さえてしまう。
やってしまった後で気付く。
私、何でこんな女の子っぽい行動してるんだ……?
別に見られて困るような身体じゃないじゃないかよ。
見られるほどの凹凸が無いって意味だが……。
いやいや、そういうのはどうでもよくて……。
バスルーム内、立ち込める湯気の中、目を細めて突然の訪問者に視線を向けてみる。
正体は声で分かってたけど、自分の目で確認しない事にはすぐに信じられそうになかったからだ。

訪問者は長い黒髪を下ろし、タオルも巻かずに全裸でバスルームに入って来ていた。
そりゃそうだ。
銭湯ならともかく、個人用のユニットバスに入るのにタオルを巻く奴は居ない。
いや、小学生の頃の澪は恥ずかしがって巻いてたっけか?
確か「すぐにお風呂に浸かるんだから」って澪の巻いたタオルを無理矢理剥ぎ取った覚えがあるな……。
まあ、それはともかく。
私はその訪問者の予想通りの顔を確認すると、少し溜息を吐きながら言ってやった。


「何だよ、梓……。
まだ私が風呂に入ってから十分も経ってないじゃんか。
おまえは私を大雑把でいい加減って思ってるかもしれないけど、
そんなカラスの行水みたいな風呂で満足出来るほど大雑把じゃないんだぞー」


少し頬を膨らませてやると、私のその表情を見た梓が苦笑して首を傾げる。
どうも私の風呂を急かしに来たってわけでもないらしい。
梓は長い髪を少し後ろに流すと、湯船に手を置いて笑った。


「違いますよ、律先輩。
たまには気分転換に私も律先輩とお風呂に入ってみようかって思ったんです。
……ご迷惑ですか?」


「いや……、別に迷惑じゃないけどさ……。
でも、どんな風の吹き回しだ?
おまえ、この前まで学校に居た時も、私と風呂に入ろうとしなかったじゃんか」


「だから、気分転換ですよ、気分転換。
それに私とお風呂に入りたがらなかったのは、律先輩の方もじゃないですか。
律先輩こそ、どうして私とお風呂に入るの嫌がってたんですか?」


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
657Res/1034.29 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice