過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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403:にゃんこ[saga]
2012/05/08(火) 17:48:11.44 ID:KV32gPEW0
他にも多くの思い出が私の中に蘇って来る。
皆で頑張ったバンド練習、ライブ前の高揚感、大切な私の思い出達……。
だけど……。
それを抱えながらじゃ、私はきっと前に進めないから……。
思い出を見つめながら進めるほど、私は強くないから……。
皆の未来を守れそうにないから……。
ぎゅっ、とピックを握り締める。
強く強く、最後に握り締める。
これが私からの、三人へのお別れ……。

私は腕を振り上げると、
一つ大きな深呼吸をして、
屋上から三つのピックを放り投げた。

ピックは
放物線を描いて
ロンドンの闇の中に
吸い込まれていった。

ありがとう。
さようなら、私の大切な……、思い出。

ピックを放り投げた後、私は長い間、放心していた。
大切な物を自分から切り捨てた罪悪感。
これでよかったんだっていう満足感。
二つの想いが複雑に混ざり合って、
どうしたらいいのか分からず、夜の風に吹かれる事しか出来なかった。

ふと、私はもう一つ、大切な物がある事を思い出した。
ピックを入れていたのとは逆の方のポケットを探ってみる。
……あった。
写真。
純ちゃんが撮った私と梓の写真……。
灯りがほとんど無くて、夜目だったけど、
その写真の中の私達は月明りでよく見る事が出来た。


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