過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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423:にゃんこ[saga]
2012/05/13(日) 17:43:23.38 ID:To/8p/je0
それにしても、無理のし過ぎだよな、唯……。
自分の体力の限界も知らないとか、小学生かよ……。
でも、思い返してみれば、唯が体調を崩す兆候はあった。
ロンドンに転移させられた次の日、唯は午前中しか行動出来てなかった。
あの唯が、午前中しか動けてなかったんだ。
私はその事に気付くべきだった。
いや、気付いてはいた。
でも、自分の事ばかり気に掛けてて、私はそれを気にする事が出来なかった。
自分の弱さに耐え切れず、梓の優しさに甘えちゃってたんだ、あの日は……。
何処までも自分本位な自分自身が情けなくなる。

だけど、一つ深呼吸。
もう迷わない。
唯が疲れてるなら、唯が辛いなら、私はその手助けになろう。
皆の足手纏いにならないよう、精一杯生きよう。
それがこの世界で私に出来る唯一の事だと思うから……。

私は腕を伸ばして唯の額に手のひらを置いてみる。
……熱い。
大体38℃くらいらしいけど、そうとは思えないくらい唯の額はすごく熱かった。
こんなに無理して……、強い意志を持って……、
思い出を守ろうとしてたんだな、こいつは……。
これが私の選べなかった選択肢を選んだ唯の姿……。
私と唯のどっちが正しいのかは分からない。
でも、せめて唯の選択肢だけは、私自身も含めて誰にも否定させたくない。


「……ん……?
あ……、りっ……ちゃん……?」


呻くような唯の声が響く。
どうやら目を覚ましてしまったらしい。
私の手のひらが冷たかったんだろうな。
折角さっき寝付けたらしいのに、何だかとても申し訳ない。
私は唯の額を撫でながら、小さく囁いた。


「悪い……。起こしちゃったみたいだな……。
体調は……、まあ、悪いんだろうけど、休む邪魔しちゃってごめんな……。
寝るのに邪魔みたいだったら、すぐ隣の部屋行くからさ」


「いい……よ、りっちゃん……。
りっちゃんの手、小さくて、冷たくて、気持ちいいし……。
傍に居てくれて、嬉しいし……。
だから……ね?
りっちゃんが邪魔だなんて……、私、思ってないよ……?」


「そっか……、ありがとな……」


軽く唯の頭を撫でる。
やっぱり、かなり熱い。
今のだけでも、結構無理をさせちゃってるんだろう。
私は唯に休んでもらうため、それ以上何かを言うのはやめておいた。


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