過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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431:にゃんこ[saga]
2012/05/13(日) 17:54:36.29 ID:To/8p/je0
口を尖らせながらも、唯は私の言葉に従ってくれた。
脱がせた唯のパンツは少し重いくらい汗を吸っていた。
こんなに汗を掻いてたのか……。
よっぽど苦しかっただろうな……。
せめて、その苦しみをこのタオルで少しは吸い取ってやりたいな……。
そう思って、一生懸命に唯の汗を拭いた。

大雑把って言われる私だけど、精一杯丁寧に唯の身体を拭いたつもりだ。
吹き出す汗を止める事は出来なかったけど、
唯の身体に纏わりつく古い汗は全部拭けてやれただろう。
私と澪は唯に新しいパジャマを着させると、頷き合ってから二人で唯の身体を抱き上げた。


「え……っ? 何……?」


唯が動揺した様子を見せる。
そりゃいきなり二人に抱き上げられたらびっくりするよな。
澪がちょっと笑いながら唯に説明を始める。


「心配するな、唯。
隣のベッドに移ってもらうだけだよ。
このベッドはもうおまえの汗でびっしょりだからさ、
新しいベッドで寝た方がおまえも少しは気持ちよく眠れるはずだよ」


「それはそう……だけど……。
でもでも……、えっと……」


「何だよ? とりあえず移すぞ?」


言って、唯を隣のベッドに寝させ、上から布団を掛ける。
その間中も、唯は何か言いたげに元のベッドの方を見ていた。
いや、正確には枕……か?
この枕に愛着でもあるんだろうか?


「何だよー、唯。
枕の下にエロ本でも隠してんのかー?」


からかうみたいに言いながら、枕を手に取ってみる。
うわっ、唯の汗を吸いまくってんなあ……。
いや、そんな事より、この枕、ちょっと固い所があるな。
何だ……?
何か入ってるな……。
唯の奴、何か隠してるのか?
私は反射的に枕カバーの中に手を突っ込んでみる。


「あっ……、駄目……」


唯のその言葉はちょっとだけ遅かった。
私は唯のその言葉より先に、
枕カバーの中に入っていた固い何かの感触を感じていた。
感じた事がある気がする……。
いや、でも……、これは……、まさか……。

私は胸が激しく鼓動するのを感じながら、枕カバーの中から手を出した。
手のひらを広げて、握りこんでいた物に恐る恐る視線を落としてみる。
感触で半ば分かってはいたけど、この目で見ない事には信じられなかった。
いや、この目で見た所で、信じられなかった。

私の手のひらの上には、
あの日、投げ捨てたはずの、
過去と一緒に捨てたはずの、
ほうかごガールズのピックがあった。


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