436:にゃんこ[saga]
2012/05/16(水) 18:31:56.43 ID:WgkY/9oG0
私の目に映るのは、辛そうな唯の姿。
40℃もの熱を出して苦しんでる唯の姿だった。
そして、唯を苦しませる事になってるのは、間違いなく私が原因なんだ……。
後ほんの少し熱が上がるだけで死んでしまう状態に追い込んでしまったのは……、
今まさに唯を殺し掛けてるのは……、
私……なんだ……。
何をしてたんだ、私は。
過去を捨てて、前に進んだ気になって、何をしようとしてたつもりだったんだ。
大体、私が皆を支えるなんて思い上がりだったんじゃないか?
私はいつだって皆に支えられて来た。
ずっと支えられて来た。
そのお返しをしたかった。
少しでも誰かに恩返しをしたかった。
私に出来る事は少ないって分かってたから、
この閉ざされた世界に来る前は、皆を楽しませる事で恩返しをしようと思ってた。
皆を笑顔にしてあげたかった。
だけど……、それは皆には迷惑だったのかもしれない……。
私は一人でずっと空回りしてただけなのかもしれない……。
自分勝手な被害妄想かもしれない。
でも、今の私には、もうそうとしか考えられない……!
梓の事にしたってそうだった。
私は自分が思う以上に弱いって事を、梓と風呂に入った日に気付いた。
誰かの体温を感じたかったんだ。
誰かの体温を感じなきゃ、孤独に押し潰されそうだった。
それで一番華奢で弱い子に頼ろうとしちゃったんだ。
一番私を拒みそうにない子の未来を奪い取ろうとしてしまったんだ。
馬鹿じゃないかって思う。
私はあんまり利口なつもりじゃなかったけど、今こそよく自覚出来た。
私は利口どころか単なる馬鹿なんだ。
自分の事しか考えられなかったどうしようもない馬鹿なんだ……。
こうなると皆の支えになりたいって想いも、我ながら怪しくなってくる。
私は皆の支えになりたかった。
皆を笑顔にしてあげたかった。
でも、それは皆のためじゃなくて、自分のためだったかもしれない。
いや、多分……、きっとそうなんだろう。
私は自分が安心したいために、笑いたいために、皆を利用してたんだ……。
「おい……、どうしたんだ、律?」
急に黙り込んでしまった私を不審に思ったんだろう。
澪が長い髪を耳元に流しながら、心配そうに訊ねてくれた。
応じられるはずがなかった。
頭の中がぐちゃぐちゃだ。
口の中がカラカラだ。
胸が絶え間なく痛み続けてる。
口を開けば大声で泣き出してしまいそうだ。
私が澪に言える言葉なんて、一つも無い。
私に出来たのは、澪から顔を逸らして、
この泣き出してしまいそうな表情を澪に見せないようにする事だけだった。
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