過去ログ - 律「閉ざされた世界」
1- 20
44:にゃんこ[saga]
2012/01/24(火) 19:44:22.68 ID:d2TFKSm50
屋上で笑顔を向け合う二人……。
まさか和とそんな関係になれるなんて、初めて会った時には想像もしてなかった。
唯の友達にしては真面目そうな子だな、ってのが初対面の時の印象だったしな。
言葉は悪いけど、気は合わないだろうな、って思ってた。
和が悪いわけじゃないけど、私の性格とはどうも合いそうにない気がしたんだ。

それで二年の頃、澪と仲良く出来てる和が悔しかったんだと思う。
私と全然違うのに、私とは正反対な性格なのに、澪と和は仲が良い。
幼馴染みなのに、澪はもう私には飽きちゃったのか。
私の事なんてもうどうでもいいのか。
そう思えて、悔しかった。

でも、そうじゃなかったんだよな。
和は優しくて頼りになる子だから、澪と友達になるのは自然な事だ。
でも、澪に友達が出来るのは嬉しいけど、同時に不安だった。
澪は中学まで私以外の友達が少なかったし、
その友達もほとんどが私のよく知る子だったから、
私が居ない所で澪に友達付き合いがあるって事が初体験だったんだ。
だから、不安だったんだと思う。
我ながら子供っぽくて恥ずかしいけどさ。

だけど、和はそんな私も澪と一緒に受け容れてくれた。
幼馴染みの唯のためにって所も多いんだろうけど、軽音部のために色んな手助けもしてくれた。
和にとっては、私も澪も唯と同じく手の掛かる妹の様なもんなのかもしれないな。
そんな和と仲良くなれて、私は嬉しいと思う。
勿論、そんな事を面と向かって言えるはずもない。
私は頬を掻きながら、照れ隠しのために違う話を和に振った。


「そういや、可能性の一つ……って事は、
和は他にもまだまだこの状況の原因を考えてるんだろ?
あんまり物騒な話だとノーサンキューだけど、よかったら教えてくれるか?」


「律も元気よね……。まあ、いいわ。
そうね……。
勿論、全部荒唐無稽な夢物語として聞いてほしいんだけど、
次に考えたのは、私達が私達オリジナル本人じゃないって可能性よ。

私達はオリジナルの人格を移植された人工生命で、この町も精巧に出来た偽物。
何らかの実験で偽物の私達は偽物の町に放たれた。
それなら私達以外に誰も存在しなくても問題無い。
……というのは、どうかしら?」


「あー……、よくあるよな、それ。
国民を意のままに操るための政府の何かの陰謀って感じのやつ。
そんな事しても、絶対に元が取れないと思うけどな。
偽物って話になるとさ、私はここが電脳世界って可能性も考えたな。
よく出来たネットゲームってやつ。私はネットとかよく知らないんだけどさ」


「それもよく聞く話ね。
いくつか小説や映画で目にした事があるわ。
まさかあのホラー小説の続編が、そういう話になるとは思わなかったけどね。
まあ、パソコン通信は最近では一般常識になってきてるし、
バーチャルリアリティの進化も驚く物があるから、そういう話もありえなくはないわよね」


「パソコン通信とバーチャルリアリティって言い方は古いぞ、和。
お母さんっつか、おばあちゃんかよ」


「そうかしら?」


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
657Res/1034.29 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice