444:にゃんこ[saga]
2012/05/18(金) 18:46:39.62 ID:h4cAwdoQ0
私の目に写るのはベッドの上で苦しむ唯。
熱に苦しみ、不安や、辛さや、悲しさや、色んな物に追い詰められている唯の姿。
残りほんの少し悪い方に転んでしまったら、
すぐにでも死んでしまう可能性がある唯の姿だ。
死に瀕している唯……。
この世界が何なのかはっきり分かったわけじゃない。
沢山の事を思い出しては来たけど、まだまだ分からない事だらけだ。
でも、一つだけはっきりしてる事がある。
私は失いたくなかった。
大切な仲間をを失いたくなかった。
失いそうになって、失いたくなかったから、何が何でも傍に居ようと思った。
どうしても傍に居たかった。
そうやって私はこの世界に辿り着いたはずなのに、
私はまた大切な仲間を失いそうになってしまっている。
しかも、今回は唐突に訪れた事故や事件じゃなく、
紛れもなく私の責任で、仲間を失いそうになってしまってるんだ。
今、唯が苦しんでるのは、完全無欠に私の責任なんだから。
吐き気がした。
目眩や動悸や窒息しそうな息苦しさや、多くの苦しみが私を襲う気がした。
でも、そんなの自業自得だし、唯の方がその何倍も苦しんでるんだ。
私の苦しさなんて、自業自得どころか自己満足レベルの勝手な症状だ。
そんなの……、気にしてるわけにはいかない。
……って、何やってるんだよ、私は!
私には何も出来ない。
唯の治療をする事どころか、唯を安心させてやる事すらもきっと出来ない。
私はもう……、唯を苦しめる存在でしかないんだ……。
だからこそ……。
だからこそ、せめて唯が安心出来る仲間くらいは、私が呼びにいかないと……!
私は「ちょっと待ってろ!」って唯に言ってから、
唯に背中を向けて駆け出そうとしたけど、その私の右手は誰かに強く掴まれた。
考えるまでもなく、当然、私の右手を掴んだのは唯だった。
唯は病人とは思えないほど強い力で、私の右手を掴んでいた。
私は自分が動揺するのを感じながら、私の手を掴んでる唯に視線を向けた。
驚いた。
相当苦しいはずなのに、40℃以上の熱があるくせに、
唯がいつの間にか身体を起こしていて、まっすぐな強い視線で私を見つめていたからだ。
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