過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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454:にゃんこ[saga]
2012/05/20(日) 17:40:13.98 ID:Q/gkUNmc0
だけど……、私に何が出来る……?
私には何も出来ないんじゃないか?
看病なんてろくに出来ないし、私が今までやって来た事のほとんどが裏目だ。
決意も決心も、何もかもが皆を追い詰めるだけだった。
皆を傷付けるだけだった。
だったら、私はもう何もしない方が……?
その方が……唯達のために……?
でも、それじゃ、私は何のために今まで……。
いや、私の事よりも、今は苦しむ唯を救う方が先決で……。

堂々巡りだった。
こんな状態になって、私は自分に出来る事、出来た事がほとんど無かった事に気付く。
部長が聞いて呆れる。
皆の足を引っ張ってばっかりだ。
足手纏いになりたくて、逆に足手纏いになってしまってる。
完全に単なる間抜けでしかない私……。

だけど、立ち止まってるわけにもいかなかった。
私には何も出来ないけど、何も出来ないなりにやらなきゃいけない事がある。
私は強く唯の手を握る。


「唯……、おまえは治る……! 元気になるって信じろ……!
治ったら話したい事がある。
文句を言ってやりたい事もいっぱいある……!
だから……、死ぬなんて……、もう言わないでくれ……!」


私に言える精一杯の言葉を伝える。
今の唯にどれだけ私の言葉が届いたか分からない。
届いてなくたって構わない。
私の言葉を届けようと思えた。今の所はそれだけで十分だ。
届けたかった言葉は、いつかまた必ず届けてみせる……。
頷くと、私は大きく息を吸い込んでから、大声で叫んだ。


「ムギぃ! 梓ぁ!
唯の体調が急変した!
頼む! 今すぐ来てくれえっ!」


叫んでいる間も、私は唯の手を強く握り続けた。
この先、唯の手の熱さと私の唯達への想いを絶対に忘れないように。
それが何も出来ない私に出来る最後の抵抗だ。


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