465:にゃんこ[saga]
2012/05/22(火) 18:06:17.91 ID:x6fXrDtV0
「考えてみりゃ、その通りだよな……。
この世界は唯の夢で、唯が死ねば私達はこの世界から解放される……。
単純過ぎて笑っちゃうくらいだよ……。
簡単な……答えだよな……、馬鹿みたいに……」
「おい、律……?」
私の様子がおかしい事に気付いたのか、澪が心配そうに私に訊ねる。
私も自分自身の様子や感情がおかしい事は自分で気付いてた。
だけど、止められなかった。
止められなかったんだ、どうしても……。
自分への嫌悪感から、吐き捨てるような言葉をまた言ってしまう。
「馬鹿だよ、唯は……。
この世界が自分の夢じゃないかって気付いてさ……、
自分が私達に迷惑掛けてるんじゃないかって考えてさ……、
それで……、きっと唯は自分で自分を追い詰めたんだ。
この世界は唯の夢で、この世界の唯の身体も唯の夢だ。
そうだよ……。
唯の体調を崩せるのは唯だけなんだ。
現実の方の唯に何かあったとは考えにくい。
目こそ覚まさなかったけど、それ以外の唯の身体は健康だったはずだしな。
だから……、だから、唯は自分自身で自分の身体を追い詰めたんだよ!
この……馬鹿野郎……っ……」
「馬鹿野郎……って、律先輩、それは……」
梓が悲しそうな表情で私を見つめる。
唯の事を責められたと思って悲しく思ったんだろう。
でも、違うんだよ、梓……。
私が責めたいのは唯じゃない。私自身なんだ。
唯なんかよりずっとずっと馬鹿な私の方なんだよ……。
私は続ける。
ひょっとすると、これを言うと皆に軽蔑されて、
もう顔も合わせられなくなるかもしれないけど、言わないわけにもいかなかった。
言いたかったんだ、どんなに軽蔑されたって。
皆に……、嫌われたって……。
「分かってるよ、梓。
唯は馬鹿だけど、馬鹿な奴だけど、まっすぐな奴だ。
まっすぐに私達を考えてくれる馬鹿で、いい奴だ。大好きな仲間だ。
失いたくない仲間だよ……。
馬鹿なのは……、もっと馬鹿なのは私だ……。
私なんだよ……」
「律……先輩……?」
梓が私を気遣って手を伸ばそうとする。
私はムギの肩から手を離して、梓のその手を避けた。
梓は傷付いた表情を見せたけど、でも、今の私には触れてほしくなかった。
こんな最低な奴を気遣う必要なんてないんだ……。
梓は私なんかより、皆を支えててあげてほしいんだ……。
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