過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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466:にゃんこ[saga]
2012/05/22(火) 18:06:55.04 ID:x6fXrDtV0
私は壁際に寄って、背中を壁にくっ付けながらその場に座り込んだ。
もう立っていられる気力も無かった。
だけど、それでも、言葉だけはどうにか皆に届ける。


「皆、聞いてくれ……。
唯を追い詰めたのは唯自身だけど、そのきっかけを作ったのは私なんだ……。
私なんだよ……。
唯が体調を崩す前、このホテルの周辺を一人で探ってただろ?
あれは私のせいなんだ……。
私のために、唯は一生懸命になってくれたんだよ……。
私なんかのために……。
逃げてばかりの私なんかのために……。

唯の奴……、きっと考えたんだ。捜しながら考えてたんだ。
自分が誰かの迷惑になってるんじゃないかって。
このままでいいのかって。
それで少しずつ自分を追い詰めて体調を崩して、
ベッドで看病されるうちに自分が頭を大怪我をした事にも、
この世界が自分の夢だって事にも気付いて、それで……。
それで……!」


叫びながら、唯の方に視線を向ける。
唯は……、赤い顔をして、低い唸り声を上げ続けている。
自分で自分を追い詰めて、自分から死に至ろうとしている。
私達のために……、死のうとしている……。

これは……、何なんだ……?
私は唯と傍に居たいと願っただけなのに、どうしてこんな事になっちゃうんだ……?
私は唯を失いたくなかった。大切な仲間を失いたくなかった。
唯達とずっと一緒で演奏して、笑っていたかった。
ずっと……、一緒に……。
その願いが間違ってたと言うんだろうか?
願っちゃ……いけなかったんだろうか……?

それは分からないけど、一つだけ分かってる事がある。
私が唯を追い詰めてしまったって事だ。
私がピックを捨てたせいで、過去を捨てようとしたせいで、
私は私よりも唯を傷付けてしまったんだ。
そうして、私はまた唯を失いそうになってしまっている。
それも一度目とは違って、他の誰でもなく私のせいで……。
私の……せいで……。

嫌だ……!
そんな嫌だよ……!
私が皆から嫌われるのは自業自得だけど、唯には死んでほしくない!
生きててほしい!
元の世界の事は関係無い!
もう唯を失いたくないんだ!
そのためには何だってしてやる! 何だって……!

だけど……、私に何が出来る……?
今度こそ唯のために何かをしたいのに、それを思い付けない。
何も思い付けない。
肝心な時に……、何も出来ない……。
ちっく……しょー……。


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