469:にゃんこ[saga]
2012/05/24(木) 17:54:11.61 ID:aQbTBr6w0
「律……」
澪が呟きながら歩き寄って来る。
私は唯の顔から視線を逸らさなかったけど、それはよく分かった。
澪の足音が響いてるんだ。それくらいは分かる。
澪が近付いて来る。
でも、私は澪の表情を知る事は出来ない。
澪の顔に視線を向ける事が出来ない。
私は嫌われてしまっただろう。
軽蔑されてしまっただろう。
これ以上はもう皆の傍に居られないだろう。
思わず逃げ出したくなる。
でも、逃げられない。逃げたくない。
最終的には皆の傍に居られなくなってしまうとしても、
今は皆の考えや想いを私にぶつけられるべき時なんだ。
皆は私にぶつけるべきなんだ、怒りや、悲しみや、苦しみを……。
どんなに辛くたって、私はそれを受け止めなきゃいけないんだ……。
私はそれだけの事をしてしまったんだから……。
「ごめん……、皆……」
喉の奥から声をどうにか絞り出す。
私は謝らなきゃいけない。
謝りたい。
何も出来てない私。
足手纏いにしかなっていない私。
和達を見捨ててしまった私。
唯を追い詰めてしまった私。
こんな私なんだ。
謝らなきゃ……、謝る事しか……、私には……出来ない……。
「ごめん……、本当にごめん……。
足手纏いにしかなってなくて、何も出来なくて……、悪かった……。
何を言ってくれたって構わない。
どんなに責めてくれたっていい。
皆の前から居なくなれって言うなら、居なくなる。
消えるよ……。
でも、せめて唯の体調がもう少しよくなるまでは、居させてほしい……。
唯のために何でもする……。
何か……させてほしい……。
だから……っ!」
謝りながら、いつの間にか私の目の前に来ていた澪の顔に視線を向ける。
怖かったけど、視線を逸らし続けているわけにもいかなかった。
本気で謝るには、真正面から相手を見つめるしかない。
まっすぐに見つめて、謝り続けるしかないんだ。
それが私に出来る事なんだと思う。
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