過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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471:にゃんこ[saga]
2012/05/24(木) 17:56:22.54 ID:aQbTBr6w0
そうだな……。
私は……、甘えていた……。
甘えていたんだ、皆に……。
私は皆に謝りたかった。皆に責められたかった。
あらゆる事に役立たずの自分を自分自身が許せなくて、
辛くて……、一人で抱えてるのが怖くて……、謝りたかったんだ。
和達を見捨ててしまった事も、唯を追い詰めてしまった事も、謝りたかった。
それで、皆に責められて罪悪感を抱く事で、逆に楽になりたかったんだよな……。
誰かに罰される事で、抱えていた物を軽く出来るって勘違いしてたんだ……。

分かるよ……。
今なら、分かる。
だから、澪は殴ってくれたんだ。
甘えていた私の甘えを果たさせてくれるために。
一発だけ……、殴ってくれたんだ……。
でも、もう甘えは許されない。


「ありがとう、澪……」


『ごめん』じゃなくて、『ありがとう』と私は口にしていた。
口に出来た。
澪に『ありがとう』なんて、どれくらいぶりに言うんだろう……。
でも、本当にありがとう、澪。
最後の最後で、本当にギリギリの崖っぷちで、私は間違えずに済んだんだ……。
私の想いを分かってくれたのか、澪は少しだけ微笑んでくれた。


「これで最後だからな?
これ以上妙な事ばかり言ってると、もう二度と殴ってやらないからな?
覚悟しとけよ?」


「ああ……、十分甘えさせてもらったよ、澪……。
ありがと……な」


私が言うと、澪が私に方に手を差し出してくれた。
その手を握って、私は立ち上がる。
何とか、立ち上がる。
今度こそ。

ムギと梓の顔に視線を向けてみたけど、二人とも私と澪の間に、
どんな想いのやりとりがあったのか分かってないみたいで、
不思議そうな表情で私達の事を見つめているみたいだった。
そりゃ……、そうかもな……。
こんな短い会話で想いが分かり合えるなんて、
長い付き合いの幼馴染みにしか出来ない事だと我ながら思う。
その善し悪しは別として、今は純粋に大切な幼馴染みの澪が傍に居る事を感謝したい。


「あの……ね……?」


不思議そうな表情をしながらも、ムギが私に向けて話し始める。
私はムギにまっすぐ視線を向けて、続きの言葉を待つ。


「私……、りっちゃんの事、責めないよ……。
りっちゃんは何も出来てないって言ってたけど、そんな事無いと思うし……。
それにね……、謝るのは私の方だと思う……。
謝らないで、りっちゃん……。
前に変な事訊いちゃって、りっちゃんを迷わせちゃったのは私だから……。
だから……、ごめんね、りっ……」


「ストップ」


私はムギの言葉を止める。
前に変な事訊いたっていうのは、ムギが寂しがっていた時の事だろう。
自分がただ一人残されちゃうんじゃないかって、ムギが不安に思ってた時の事だ。
あの時、私はムギにはっきりした言葉を届けられなかった。
はっきりと伝えてあげるべきだった。
それを後悔する事は出来たけど、今は後悔よりもするべき事がある。
だから、私はムギに伝えるんだ、自分の正直な想いを。


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