475:にゃんこ[saga]
2012/05/24(木) 18:02:48.95 ID:aQbTBr6w0
「な、何やってるんですか……っ!」
「おまえが最初に言い出した事だろ、梓?
自分の身体に触れてる物は一緒に転移するんじゃないかってさ。
その理論の応用だ。
ビニール紐を身体に結んでおいて、
誰かがそれを持っていてくれれば、どんなに距離が離れてたって大丈夫なはずだろ?
そんなに遠出をするつもりじゃないし、四つもあれば大丈夫だろ。
紐の端と端を結べば一キロ以上は進める。
それにこれも被ってくからさ」
言いながら、私はライト付きのヘルメットを被った。
さっき時間を確認したけど、午後五時を回ってたからな。
そろそろ太陽も沈み始める頃だ。
そんなに時間を掛けるつもりはないけど、万が一の時のために被っておいた方が安全だろう。
懐かしくなって持って来ておいてよかった。
「それなら安心……のはず……ですけど……。
でも……、でも……」
まだ心配そうな表情を浮かべる梓。
安心させてやりたかったけど、今は無理にでも信じてもらうしかなかった。
ビニール紐の固まりの端を梓に握らせてから、私は部屋の扉を開ける。
「律先輩!」
「りっちゃん!」
「律!」
三人の言葉が重なる。
全員の視線が私に集まる。
続きの言葉は澪が代表して言ってくれた。
「ちゃんと帰って来いよ!
唯と一緒に待ってるから……!
だから、ちゃんと帰って来て……!
お願い……!」
「ああ!
唯の事……、頼む!」
そう言ってから、駆け出して行く。
未来への希望と、少なからずの不安を胸に抱きながら……。
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