過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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498:にゃんこ[saga]
2012/06/01(金) 18:52:51.44 ID:rzsgqDp00
それは唯の想い。
唯の悲痛な想い。
皆の事を大事に思って、皆の事を考えられるからこそ感じてしまう唯の痛みだ。
大切な物が沢山あるからこそ、人の何倍も感じてしまう胸の痛みなんだろう。
でも……、唯のその痛みは分かるけど、それを認めるわけにはいかなかった。
認めちゃいけないんだ、私のためにも、唯のためにも。
私は一つ大きな深呼吸をする。
大切な事を伝えるために、心を整えて口を開く。


「唯……、確かに私は悲しかったよ。
おまえの姿を見て、凄く怖くて、凄く悲しかった。
自分の心が壊れそうになるくらいだった。
でも、それは私の責任なんだよ、唯。
私が弱かったから、弱いくせに強がってたから、
それで……、自分の悲しさを隠し切れなくて、無茶な事をしちゃってたんだと思う……。
だから、あれを投げ捨てたんだ、私は……。

でも……。
おまえが見つけてくれて、二つだけ見つけてくれて……、
悲しかったけど、怖かったけど……、心の何処かでは嬉しかった気がするんだ。
私の事をおまえがそんなに考えてくれててさ、
私の思い出を大切にしてくれる友達が居て、本当に……」


「でもでも……、
りっちゃん達に辛い想いをさせてるのは……私で……。
りっちゃん達を悲しませてるのは私で……。

それに私……、怖いんだよ……。
今はまだ……、五人揃って……られてるよね……?
だけど……、だけどね……、
多分ね……、いつか私達も……離れ離れになると思うんだ……。
憂達が居なくなって……、気付い……たんだ。
この夢の世界は私の夢だけど……、私が自由に出来てるわけじゃない……んだって。
それはそうだよね……、夢だもんね……。
夜見る夢だって、自由な夢を見れるわけじゃ……ないもんね……。

だから……、いつか皆が離れ離れになる前に……、
憂達みたいに消えちゃう前に……、私が居なくなった方が……」


「それがどうしたってんだよ!」


私は大声で叫ぶ。
突然の事に唯は驚いたみたいだったけど、私は言葉を止めなかった。
止めるわけにはいかなかったんだ。
それだけは唯の意志でも通させてやるわけにはいかない。
私は唯の手を強く握り直して、唯の瞳を見つめながら言ってやる。


「それが何だよ?
私達がまた何処かに転移させられて、
誰かと離れ離れになるってのは、おまえが死ぬ事よりも辛い事だってのか?
おまえの命が消えるより、大変な事だってのかよ?」


「そうですよ、唯先輩!
私……、どんなに辛い事になっても、唯先輩が生きててくれた方が嬉しいです!
生きててほしいんです!」


私の言葉に続いたのは梓だった。
梓は今にも泣き出しそうな表情で唯を見つめている。
流石の唯も大好きな後輩にそんな表情をされては躊躇ってしまうらしい。
強い意志を持っていたはずの唯の言葉が弱くなっていく。


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