過去ログ - 律「閉ざされた世界」
1- 20
503:にゃんこ[saga]
2012/06/03(日) 17:34:57.37 ID:w9A0afgF0





雲が流れる。
何処までも果てしない空に、輝く雲が。
窓の外で静かに流れていく。

これまでの喧騒が嘘みたいな静けさ。
あいつが私達の心をこんなに占めてたなんて、思ってなかった。
あいつがこんなにも大事だったなんて、思ってもみなかったんだ。
失ってしまって、それをまた確認する。

私は横たわっていた主の居なくなったベッドに視線を向ける。
確かにあいつはここに居た。
ここで孤独や恐怖と戦っていた。
私達の事を思って、私達の傍で、生きてくれていたんだ。
でも、あいつは……、もう……。


「いい奴……だったんだけどな……」


「うん……」


私が呟くと、応じるみたいにムギが悲壮な表情で頷いた。
いい奴だったと思う、本当に。
失いたくなかった。
どんな形でも生きててほしかった。
守りたかった。
だけど、それは叶わなかった。
無力感が心を支配し、私は肩を落として拳を握った。
もうあいつに会えないんだと考えるだけで、自分の胸に大きな穴が出来てしまったかのように感じる。
その穴が塞がる日はいつか来るんだろうか……?


「この世界は……、これからどうなるんだろうな……」


澪が唯の横たわっていたベッドを整えながら、独り言みたいに呟いた。
独り言だったのかもしれないけど、私はその独り言に応じてやる事にした。
独り言にだって、返事が欲しい時もあるだろう。


「さあな……。
これからどうなるんだろうな、この世界……。
まだ分かんないよな、その辺もさ。
この世界が本当に唯の夢の世界だったのか、それも確定してないしな……。
でも、多分、世界は変わる。変わると思うよ。
いい方向になのか悪い方向になのかは分かんないけど、きっと世界は変わると思う」


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
657Res/1034.29 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice