512:にゃんこ[saga]
2012/06/03(日) 17:42:59.09 ID:w9A0afgF0
◎
を繋ぐ。
決して離れないように、二度とこの手を離すものかと強く繋ぐ。
私と唯は指を絡ませ、お互いの体温を肌で感じ合う。
もう何も失くしたくはないから。
失くすわけにはいかないから。
夜、私は唯と二人でベッドに横になって話した。
話しても話しても尽きない事を話し合う。
唯達が準備してた新曲の話。
私達の新しいバンドの話。
和達を失って私がどう思ったのか、唯がどう思ったのか。
その悲しみとどう向き合っていけばいいのか。
そして、これからどうするのか、どうしていきたいのか。
色んな話をした。
皆が傍に居られるための話をした。
皆で居るのは幸せだ。
皆と一緒に居れば、どんな困難でも笑顔で乗り越えていけそうな気だってする。
何だって乗り越えられる。
それは私だけが感じてる事じゃない。
皆がそう感じてるんだって、私には確信出来る。
それは私達の手が強く繋がっているから。
離したくない、離れたくないという強い意志を、皆の手のひらから感じるからだ。
嬉しい……。
本当に嬉しいんだ。
こんなにも大切な仲間が私にも出来た事が。
生涯の仲間どころか、永遠に一緒と確信出来る仲間達に出会えた事が。
私達の卒業で小さな後輩が少しの間だけ私達と離れる事になりはしたけど、
それでも私達の想いは絶対に揺るがない。揺るがしちゃいけないんだって思ってた。
でも、胸の中で激しく動く鼓動が、私に不安を覚えさせる。
私達は手を繋いでる。
自分達の意思で強く強くお互いの手を繋いでいる。
離れないために。
繋いだ手を更に強く繋いでまで。
これで私達はずっと一緒に居られる。居られるはずだ。
それは私が心の底から望んだ事のはずなのに、心の底からの笑顔を皆に向けられなくなった。
私達を繋いでくれたもう一つの絆である音楽すら、心の底から楽しめなくなってきて……。
そんな偽物の希望、偽物の笑顔と偽物の音楽に溢れた日常の中で、不意に私は気付く。
ひょっとしたら、私達は手を繋いでるんじゃなくて……。
だからこそ、私達は今度こそ本当の音楽を演奏しなくちゃいけない。
本当の笑顔を見せ合わなきゃいけない。
今度こそ……。
今度こそは絶対に。
皆とは一緒に居たい。ずっとずっと一緒に居たい。
傍に居たいからこそ、私達は自分の意思で……。
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