過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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56:にゃんこ[saga]
2012/01/26(木) 20:25:06.70 ID:DHbPiHVK0
「大丈夫ってのは何なんだよ、梓……。
こんなのただ事じゃないだろ……。
だって、純ちゃんが……、純ちゃんが……!」


「確かにただ事じゃないですよね……。
純のこの寝相の悪さ……」


「寝相かよ!」


早朝の学校全体を震わせるくらいの声で、私は絶叫した。
朝も早くから申し訳ないが、絶叫せずにはいられなかった。
寝相って何やねん!
その私の声で意識がはっきりしたのか、大きな目を見開いた梓が困った様子で囁いた。


「いきなり大きな声を出さないで下さいよ、律先輩。
和先輩達はまだ寝てるんですから、迷惑になりますよ」


「いや、でも寝相って、そりゃいくらなんでも……」


言いながら、恐る恐る自分の耳を純ちゃんの口元に近付けてみる。
耳を澄ませば、すぐに純ちゃんの口元から安らかな寝息が聞こえた。
それはそれは安らかな寝息じゃったそうな。


「本当に寝てるだけかよ!」


「だから、大きな声を出さないで下さいってば。
さっきからそう言ってるじゃないですか、律先輩。
純ってばいつも『気を付けて』って言ってるのに、全然寝相の悪さが直らないんですよ。
人の布団に入ってくるし、人の顔は蹴ってくるし……、
ひどい時は今みたいに寝ながら服を脱ぎ散らかしたりもするんです。
特に昨日はクーラーを使えなくて寝苦しかったんで、
パジャマを脱ぎたい気持ちはちょっと分かりますけど……。
まあ、もう『慣れ』ましたけどね」


「でも、廊下で寝るってのは、寝相にしてはひど過ぎないか……?」


「あ、いえ、寝相と言うのは言葉のあやですよ、律先輩。
多分、純は半分眠ってる状態でトイレに行って、帰り道で力尽きたんだと思います。
ほら、あそこにパジャマもありますし、蒸し暑いから脱ぎながら帰って来てたんでしょうね。

実は純にはよくある事なんです。
前に純の家に泊まった時の話なんですけど、
私と一緒に部屋で寝てたはずなのに、目が覚めたら純は何故か玄関で寝てましたよ」


仕方が無い子ですよね、と付け加えてから梓が苦笑する。
すげー……。
純ちゃんもすげーけど、それに慣れ切ってる梓もすげー……。


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