過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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593:にゃんこ[saga]
2012/06/22(金) 18:12:14.50 ID:dCovMAmZ0
ある程度、皆の想いをお互いに伝え終わった頃、梓が静かに独り言みたいに呟いた。


「結局……、この世界って何なんでしょうね……?」


「えっ……?
私の夢……じゃないの?」


唯が首を傾げて梓に訊ねると、梓は苦笑する事でそれを返した。


「いえ、それは多分そうなんでしょうけど、理屈……って言うんでしょうか?
そもそも、どうしてこんな事が起こってしまったのか、って事ですよ、唯先輩。
唯先輩が大怪我をしてしまって私達はそれが悲しくて、
それで私達はこの閉ざされた世界に来る事になりました。
でも、悲しかったからって、それだけでこういう事になるものなんでしょうか?」


「それもそうよね……」


名探偵ムギが口元に手を当てて首を捻る。
ムギはしばらくそうしていたけど、答えは出なかったらしく、困ったように苦笑した。
そりゃそうだ。
ムギは名探偵だけど、こんなの名探偵が解決する事件の範疇じゃないもんな。
と、私は不意に思い出した。
そういえば、この世界の謎について、心当たりがありそうな奴が一人だけ居たって事に。
私はそいつと繋いでいた手に少しだけ力を入れてから、訊ねてみる。


「そういや、澪……」


「どうした?」


「おまえ、この世界の正体について、何か心当たりがあるんじゃないか?
この世界が唯の夢だってのはほぼ確定として、
その原因についても考えがあるっぽいじゃんか」


「いや、確かにあるよ?
ある事にはあるんだけど……、でも、確証があるわけじゃないし、
いい加減な事を言って皆を戸惑わせるわけにもいかないだろ……?」


慎重そうに澪が呟く。
まったく……、人の事には口を出せるくせに、自分の事となると相変わらず気弱だな、澪は。
でも、それは、私も同じ……かな?
やっぱり幼馴染みなんだって事だろうな、私と澪は。
私は苦笑してから、澪と繋いだ手に優しく力を込めてやった。


「いいんだよ、確証が無くたってさ。
そういうのも皆で話して検証して行こうぜ?
違ってたら違ってたでいいじゃんか。
もう今更何が原因でも、ちょっとやそっとじゃ驚かないしさ」


「そうだよ、澪ちゃん!
難しい事は分からないけど、私もこの世界の事についてもっと知りたいよ!」


私に続いて唯が賛同してくれた。
多分、私達の中でこの世界の正体について一番知りたいのは唯だろう。
そもそもの原因が唯の夢なのかもしれないんだもんな。
責任を感じてる所もあるんだろう。
澪もそれは分かってたみたいで、真剣な表情で「分かったよ」と頷いてくれた。
私はその澪の様子に嬉しくなって、つい肩で軽く澪の肩を押してしまっていた。


「ありがとな、澪。
そういや、昨日、この世界についてなのかは知らないけど、何か呟いてたよな?
サンバ……だっけ?」


「サヴァンだ、サヴァン」


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