601:にゃんこ[saga]
2012/06/24(日) 17:44:38.99 ID:zgF1iagU0
澪の言う通りだと思った。
そうだ。唯が無意識に望んだからってだけじゃない。
私達も望んだから、私達はこの世界に来る事になったんだ。
この世界は唯の夢ってだけじゃなく、私達の夢の姿でもあるんだ。
だけど、そこで梓が珍しく澪に食い下がった。
まだ納得出来てない事があるらしい。
「唯先輩ともう一度話をしたかったっていうのは、分かります。
私だって、唯先輩が目を覚まさなかった事は……、凄く辛かった憶えがありますから……。
でも、澪先輩……、それなら、もっと他にこの世界に来るべき……、
いいえ、残るべきだった子が居るって思いませんか?」
「憂ちゃん……だな……」
澪が梓の言葉に頷きながら呟く。
それは澪も考えてなくはなかったらしい。
梓の疑問はもっともだった。
順位を考えるなんて馬鹿馬鹿しいけど、
でも、世界中を見渡してみて、唯の事を一番考えてるのは憂ちゃんのはずだ。
それに私達よりも、唯の家族の方が唯とまた話をしたがってるのも間違いない。
だとしたら、どうして憂ちゃんはこの世界に残っていないんだろうか……?
澪は皆の顔を見渡してから、続けた。
この世界に怯えてたからこそ、見つけられた答えを伝えてくれた。
「さっき言ったけど、そこはまた脳波が原因じゃないかって思うんだよ、梓。
皆は知ってるか?
傍で共同作業をしている人間の脳波は、いつの間にか似通って来るらしいんだ。
軽音部でさ、皆が活動している内に、皆の脳波が近くなってたとは考えられないかな?」
「それは……、喜んだらいいのか、悲しいんだらいいのか、何とも言えないな……」
私が呟くと、話を黙って聞いていた唯が頬を膨らませた。
私の発言に納得がいかなかったらしい。
「ええー……、皆の気持ちが一緒になるって素敵な事だよー?
りっちゃんはそれが嬉しくないのー……?」
「それは確かに素敵な事だと思うんだが……、
知らず知らずの内に私の脳波が唯の脳波に近付いちゃってたってのがなー……。
何か色んな日常生活に支障がありそうじゃん」
「何それー……。
ひどいよ、りっちゃん……」
唯がちょっと悲しそうに視線を伏せる。
私は苦笑して、リボンで結んだままの手で唯の頭を撫でて言ってやった。
「冗談だよ、唯。
それが今のこの世界に来る事になったきっかけになったんなら、私だって嬉しいよ。
私……、おまえと話したい事がいっぱい残ってたんだからさ」
「りっちゃん……」
「まあ、唯と考え方が似通っちゃうってのは、勘弁だけどな!」
「りっちゃんたら、もーっ……!」
「私も唯先輩の脳波に近付いちゃうのはちょっと……」
「あずにゃんまでー!」
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