68:にゃんこ[saga]
2012/01/31(火) 18:43:19.90 ID:Z8DHpmFV0
流石に全員と同じ会社に就職するって事は無いだろうし、
バンドでプロデビュー……なんて事もとりあえずは無さそうだ。
ひょっとしたらプロデビューは出来るかもしれないけど、
それで食べていけるようになるかどうかはまた別の話だしな。
つまり、卒業後に私達が別々の道を歩いて行く事になるのは、ほとんど確定に近い。
一緒だった仲間が今度こそ本当にバラバラになっちゃうんだ。
今の私の胸の中を支配してる不安は、
そんな将来の事を考えてる時の不安とよく似てる気がするんだ。
直接的な危険や問題があるわけじゃない。
このままじゃいけないんだろうけど、何をどうしたらいいのか分からない。
何をどうしたって、何も変わらないかもしれない。
胸に湧き上がるのは漠然とした不安。
はっきりとした不安じゃないのに、
その不安が真綿で首を締めるみたいに私を苦しめる。
そういや、自殺の理由を『漠然とした不安』って言い残した小説家も居たんだっけか。
走りながら頭を振って、私は胸の中に湧き上がる不安をどうにか振り払う。
悩んでても何かが変わるわけじゃないはずだ。
今の私に出来る事は、目の前にある問題に一つ一つ取り組んでいく事だけだ。
そうでもしなきゃ、私を少しは頼りにしてくれてる和にも申し訳ない。
「律先輩、ここです」
不意に足を止めて、純ちゃんが深刻な表情で私に囁いた。
どうやら目的の場所に辿り着いたらしい。
純ちゃんの言った通り、その部屋は屋上からあんまり離れていなかった。
私も足を止め、私の隣で息を切らす梓とその部屋に掛かる表札に視線を向ける。
表札にはオカルト研と書かれていた。
肩で息をしていた梓が、少し息を整えると肩を落として呟く。
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