86:にゃんこ[saga]
2012/02/04(土) 19:30:18.37 ID:I52c+SL00
「純ちゃんに気を遣わせちゃったな……。
今晩、純ちゃんの好きなドーナツのスーパーオールスターパックでも持って行こうぜ。
賞味期限がちょっと心配だけど、まあ、まだ大丈夫だろ、多分……」
「駄目ですよ、律先輩。
そんなに純を甘やかさないで下さい。
純ったら甘やかすとすぐ調子に乗るんですから。
……せめてスーパーじゃないオールスターパックくらいにしておくべきです」
言って、梓が軽く微笑む。
釣られて、私も笑った。
純ちゃんは不思議な子だ。
普段、我儘を言って梓を困らせてるみたいに見えるのに、いざという時は梓を全力で支えてる。
自慢してもいいくらい立派な梓の親友だ。
純ちゃんに似てるらしい私も、梓にとってのそういう存在になれるんだろうか?
それは分からないけれど、そうなれるように今は少しでも努力したい。
「梓と二人きりで話すのも久し振りだよなー……」
話題を少し変えてみる。
純ちゃんの話もしたかったけど、
純ちゃんの想いに応えるためにも、まずは私達自身の話をするべきだと思った。
「そうですね。
メールのやりとりは結構してた気がしますけど……」
何かを思い出してるみたいに、梓が遠い目をしながら話す。
そうだ。私達が二人きりで話すのは久し振りだった。
卒業以来、私は意識して梓とあんまり話してなかった。
電話もほとんどしてない。しない方がいいんだと思った。
部長の梓が一人で頑張るのを見守るべきなんだと思ったから。
そのおかげだと思いたいけど、梓は立派に部長をやってるみたいだ。
その代わり、私と梓はよくメールしていた。
意外に梓から送られてきて始まるメールが多かった気がする。
勿論、唯達とも沢山メールをしてるんだろうけど、
梓が私の事を忘れてないらしいメールのやりとりは、単純に嬉しかった。
好かれてる方だとは思ってないけど、嫌われてないらしいのは本当に嬉しい。
「メールで読む限りは元気そうだけどさ、最近は元気か、梓?
新入部員の子達ともちゃんとやれてるか?
何か問題が起こったら、この元部長に相談するといいぞ」
ちょっとからかいながら梓の頭を撫でると、
梓は私の手を優しく振り払ってから頬を軽く膨らませた。
「ご心配には及びません。
今の軽音部は律先輩達が居た頃より、
ずっとずっと、ずーっとすごい部になってるんですからね!
律先輩こそ、ちゃんとドラムの練習をしてるんでしょうね?」
「さってなー……。
最近忙しかったから、ちょっと腕が落ちちゃってるかもなー?」
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