98:にゃんこ[saga]
2012/02/09(木) 19:48:46.90 ID:IyRJsiHu0
◎
グラウンド横のベンチに梓と二人で座り、静かに空を見上げる。
強い風が吹いた後、私と梓かのどちらともなく、
手を引き合っていつの間にかベンチに腰掛けていた。
私の右手には梓の左手が重ねられている。
私は梓のその手を払わずに、梓の体温を感じる。
手を繋ぐ。
心を繋ぐ。
お互いが隣に居るんだって事を、二人で実感し合いたかった。
私達の視線の先には、
人が居なくなる前と何も変わらなく見える青空が広がっている。
眩しくなるくらいの青空。
雲一つ無いってわけじゃないけど、ほとんど快晴って言ってもいい爽やかな空。
梓と二人で見上げられる青空。
こんな状況でさえなければ、どんなによかっただろう。
でも、久し振りに梓と二人で空を見上げられるのは嬉しくて……、
少し照れ臭かった。
実を言うと、高校時代、梓と二人きりで話す事は少なかった気がする。
梓と二人きりになるのを避けてたわけじゃない。
何となくタイミングが合わなかっただけだ。
まあ、普通に考えれば、そりゃそうなるよな。
二年の頃は唯とムギと三人で、三年の頃は澪を含めた四人で部室に行ってたんだ。
梓とは部室で顔を合わせるのがほとんどなのに、
これじゃ梓と二人きりになるタイミングなんて、そうは出来ないだろう。
だったら、休日に梓を呼び出して二人で遊べばいいんだろうけど、
そこまでして梓と二人きりになる理由なんて無かったし、そうするのはどうにも気恥ずかしかった。
梓には梓の付き合いもあるだろうし、
いつも顔を合わせてるのに休日まで先輩から呼び出すってのもな……。
思い返してみると、二人きりじゃないけど、プライベートな梓と遊べたのは、
ハンバーガー屋で憂ちゃんと一緒に居た梓を見つけた時、それと花火大会の時くらいになるのかな。
……いや、もう一回くらいあったっけか……、とにかく、そんな所だろう。
今はそれをちょっと後悔してる。
照れたりせずにもっと梓を遊びに誘ってればよかったんだ。
二人きりで話す機会も増やせばよかったんだ。
そうすれば、私はもっと梓の事を考えてやる事が出来たんだろうから……。
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