過去ログ - とある白虹の空間座標(モノクローム)
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46:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2012/01/23(月) 20:59:58.05 ID:f7Hv/QyAO
〜7〜

手塩「………………」

黄泉川「お疲れ様じゃん」

そして手塩が水晶宮を後にしたところで、警備員の特殊装甲車に乗り込みハンドルを握っていた黄泉川愛穂が顔を出した。
手塩はそれに片手だけあげると助手席に乗り込み、腕組みして目を閉じた。黄泉川もゆっくりアクセルを踏み

黄泉川「………………」

手塩「………………」

黄泉川「て」

手塩「三日前まで」

黄泉川「………………」

手塩「酒の席で、さしつさされつした相手に、頭を下げられると言うのは」

黄泉川「――やりきれないじゃん」

手塩「全くだ」

車道より望む平穏と活気が程良く入り混じった繁華街を見やりながら手塩がぼやき、黄泉川が頷く。
数日前、織女星祭のビアガーデンで黄泉川と手塩と月詠小萌と木山春生と寮監で浴びるように飲んだ夜が――遠い。

黄泉川「辛い役割、任せちゃったじゃん」

手塩「それは、君も、同じだろう?月詠先生には、もう……」

黄泉川「――泣いてたよ。教え子を二人いっぺんに亡くしたようなもんじゃんよ」

手塩「うち一人は、私と、君と、あの神父と、運び屋で、護送したのだったな」

手塩と、黄泉川と、ステイル=マグヌスと、オリアナ=トムソンで姫神を学園都市から脱出させようとした七夕事変。
数日前、三十路手前の女ばかりでくだを巻いて打ち上げた飲み会が、皆で力を合わせたあの戦場が遠い。

手塩「――もう、何も、失うまいと、力をつけたつもりだったんだがな……」

黄泉川「……私も、また二人しか助けられなかったなんて、思わなかったじゃん」

少年刑務所で対峙した『案内人』が、科学結社に絡んでいた『結標淡希』が、ただひたすら……遠い。




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