過去ログ - とある白虹の空間座標(モノクローム)
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49:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2012/01/23(月) 21:03:29.14 ID:f7Hv/QyAO
〜10〜

「あーあかんねえ。もうめっちゃ遠くまで流されとって回収不可能や」

「………………」

「え?サルベージ出来へんのかって?無理無理。人の手が入るところとちゃう。それこそお魚さんに変身でもせーへん限り」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「せやねえ。この海が金魚鉢くらいちっさかったらどないでもなんねんけど〜」

「・・・・・・」

「って僕ら二人しかおらへんねんからテレパシーやめへん?誰かおったら僕一人で話しとる暑さにやられた可哀想な子みたいや。え?頭の色がお気の毒?それは言わへんお約束やでー!!」

轟ッッ!と一機の飛行船が空を泳ぐ鯨のように雲を切って突き進み、軍艦島に巨影を落とす。
その甲板に立つはプルシアンブルーの髪の少年、そしてゴールデンブロンドの髪の少女。

『あらぁ?“心”に直接語り掛ける方が“嘘”がなくって説得力アリアリじゃなぁーい♪』

「あははは、そのキラキラお目めは嘘吐いとる目ぇやね!」

『そう言うあなたのお目めは細すぎて私の観察力をもってしても読めないわぁ。そ☆れ☆に』

少女は微笑む。軍用懐中電灯を剣とした王子様、十字架に永遠を誓ったお姫様、ナイフを携えた人魚姫。

『馬鹿正直なだけじゃあ処世力に欠けるでしょぉ?私他人に嘘ついても自分に嘘つけないしぃ〜』

「自分達そう言うキャラやもんねえ。でもほんまにええのん?君んところの下の子……あのままやったら死ぬんちゃう?」

『死んじゃったら所詮そこまでの器だったって事じゃなぁい?』

彼女達が摘んだマリーゴールドの花言葉に相応しく、『濃厚な愛情』に始まり『嫉妬』を経て『絶望』に終わった物語。

『この世界(ものがたり)は幻想(おとぎばなし)ほど優しくないわぁ♪その中で生きて行くのにあの子達は精神力が低過ぎたのよねぇ。自業自得☆』

潮風が前髪をそよがせ、プリーツスカートを靡かせ、膝の上に開かれた『人魚姫』のページを翻らせる。

『他人の所有物(もの)を寝取るってそう言う事でしょお?やったらやり返されて当たり前よねぇ〜』

はためくページ、手繰るその指先、艶めかしく伸びた脚線美には、全てを絡め取り掌握する蜘蛛の巣の意匠。




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