過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)
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209:ウイングレス・ガーリィ(お題:ハンバーガー) 2/16 ◆pxtUOeh2oI[sage saga]
2012/04/12(木) 23:58:29.63 ID:Ok8I1j8fo
「私の子供を人間にしてください」
 捉えられた天使のいななき。用意されていた、しかし今まで使われたことのなかった道具が使用される。
 翼の切断手術。
 赤子はやっと産声をあげた。人としての初めての泣き声。そこで、あたしの記憶は一旦、途絶える。

 あたしの背中には大きな傷跡が二つある。子供の頃からずっとあって、それは生まれつきのものだと物心がつ
いたときにわかった。
 自分自身への証明は簡単、なぜなら産まれた瞬間の記憶を持っていたから。その後、二歳ぐらいまでの記憶は
ないけれど。
 あたしは天使だった。
 数百人に一人程度の確率で産まれた瞬間に発生する病気みたいなもの。でも今は違う。
 あたしは失天使(シツテンシ)だ。
 天使は人間の社会では生きられないから、羽を切断される。そんな人間もどきを失天使と呼ぶ。あたしは人間
みたいに成長して、今ではついに高校生にまでなった。
 アド・アポエルという名前を貰い、好物はファストフードと漫画で、嫌いなものは数学。髪を染めることは好
まず、黒のショートカット。陸上部に所属していて、背がそこらの男子並に高く、そんな身体的特徴の為、走り
高跳びをなりわいとし、毎日、少しでも高いバーを超えられるように練習している。そんな普通の女子高生。
 こっちの生き方を選んでくれたお母さんには感謝してるけど、なんかこう運が悪かったなとは思う。普通に普
通の人間に産んでくれればな、とか。言わないけどさ。
「ぎりぎりせーふってことだよね」ミィコが話す。「アドとこうして一緒にごはんしてるのとか」
 四時間目の授業が終わり、昼食の時間。ミィコ・ヒェングラートとシャル・ケルツとあたし、中の良い三人で
中庭に出た。花壇の段差に腰掛けて購買のパンを食べている。この中ではミィコだけが髪を明るい茶色に染めて
いるので目立つだろう。
「そういうこと」あたしはミィコに答えた。「もし天使になっちゃってたら、二人を天から見守る仕事とかして
たわけ。キューピッドの矢をミィコの嫌いなあいつに撃ったりとかね」
 ミィコがそれはやめて、と言い。シャルが声をあげて笑った。
 天使は羽を切断されなかった場合に、すぐ空に消え神の御使いとなる。そうなった天使がどうなるのかは知ら
れていないが、なにやら超能力みたいなものを持って、人間を見守っているとのことらしい。そんな風に噂され
ているし、午前中の授業でもそう習った。だから、ミィコがこんな話をしてる。
 ふと横を見るとシャルが、黒縁メガネの奥から心配そう目を向けていた。シャルはあたしの幼なじみで親友で


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