過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)
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296:猫ごろし(お題:坂道)1/2[saga]
2012/05/06(日) 15:36:02.82 ID:18J52/4AO
 ひぐらしの鳴き声がジジジと寺の境内に響きわたる。

 木々の枝葉に覆われた木漏れ日ふりそそぐ階段坂。

 ひっそりと木陰を落とす涼しげその場所。

 そこは猫たちのたまり場になっていた。

「にゃ〜(ねっこひ〜ろし! ねっこひ〜ろし!)」

 猫たちがはやし立てる。その激励を一身に受けるのは最上段に佇む一匹の雄の三毛。

 今始まろうとしているのは、猫たちの間で語り継がれる猫又になるための儀式だ。

 香箱座りの彼はすっくと二本足で立ち上がる。

 かくして儀式は静かに幕を開けた。

 彼は前足を体の横にたらして全身を小刻みにゆすりだす。

「ゴロゴロ(ざわ・・・・・・ざわ・・・・・・)」

 異様な空気が場を支配し、まわりの猫たちは一様に喉を鳴らした。

 やおら彼は左後ろ足で片足立った。両前足と右後ろ足をぴんと伸ばし絶妙なバランスを保つ。続けて片足を軸に体を反対に捻り同じポーズを取った。

 間髪いれず正面に向き直り二本足を大きく開き仁王立つ。右後ろ足に重心を傾け、両前足を斜め上に「うー! にゃー!」と突き上げた。

 ふぅっと彼は一息吐いて狭い額の汗を拭う。ここまでは余裕だった。


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