過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)
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397:題名「カラー・チェンジ」 7/7 お題「コンディション・グリーン」[sage]
2012/05/20(日) 08:30:58.73 ID:/r/zvaHP0
 エミリの涙を救うと、彼女は気持ちよさそうにこちらへ身体を預けて来た。おいおい、みんなが見てるってと言うが彼女はきかない。猫みた
いに奔放な我が王女様を見て、もしかしたら本当に誰も見ていないのかもなと三城は思った。
 誰にもはばかることはない、三城はエミリの身体を抱き寄せる。

「ねえみっきー」
「なんだいエミリ?」
「幸せ?」
「幸せだよ」
「本当に?」
「本当さ!」
「文野って人を知ってる?」
「誰だよそれ」
「嘘吐き。浮気してるのエミリ知ってるもん」
「嘘じゃないよ。本当に誰だそれ?」 
「ふうん。しらばっくれるんだ。じゃあ、ガスマスクの男」
「僕はガスマスクなんて被ったことないよ」
「白い棒を持ってるくせに!」
「僕のはどっちかというと黒いぞ!」
「――それじゃ「コディション・グリーン」は?」
「……それは、」
「それは、なに?」
「――それは、確か、以前までうちの学校で採用されてた緊急警報状態を示す意味の語句だ。警報自体が廃止された今は、そんなものないよ」
「どうして廃止された?」
「従来の緊急警報は校内にいる教師生徒すべてに対して伝えられていた。しかし緊急情報は、思考能力の未発達な生徒にとって現状認識の混乱
を招くだけです。余計な情報を与えることで、ひいては学校全体の危機に繋がる、だからこそ警報は教師間のみに伝えられるべきであり、その
ために新体制の警報システム「コンディション・オレンジ」を設置したからです」
 
 エミリにキスされた。
「ちゅ。おはよう。もう授業始まるよ」
「あ、ああ――」
 気がつくと、授業開始のチャイムが鳴っていた。準備をするために学生鞄の中から用具を取り出していた時、三城は重要なことに気づいた。
 
 ――早く飴玉呑み込まないと。
 噛み砕いた飴玉は、三城の一番好きな、オレンジ味だった。   <fin>


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