443:滑稽な西日4/8(お題:秘密基地) ◆xaKEfJYwg.[sage]
2012/05/31(木) 01:33:49.92 ID:utSI55PFo
∇
私は、日記帳を放り投げて、空き缶の底に少しだけ残っているビールを飲み干した。日記帳
はフローリングの茶色い床の上に居場所を確保している。日記帳には帰る場所がないのだ、続
くナンバーがないのだから。
茶色ばかりで嫌気がさしたので、携帯電話と財布と煙草とライターを持って、玄関の靴を履
いた。
外にでて、靴のつま先を蹴っていると、鍵を忘れたことに気がついた。
けれど、そのまま歩き出すことにした。部屋の中に入られて困る物はなにもない。むしろ、
私にとって困るに足るものは何もない。
始めに言っておく。私はレズで処女で、クリトリスを弄られたらすぐに性交が終わってしま
うほどの不能者で、そしてフェミニストを嫌っている。
理由はいくつか上げることができるが、大きな根っこは一つだ。
――どうせ媚びるなら、女がいい。
ということだ。
だってそうでしょう? 男に媚びても、共感されることは決してないんだもの。
女は左脳で考えるし、男は右脳で考える。男女共同参画社会の本質が実現されていないのも、
きっとそういうこと。
だから私は、「山田」に会うことの出来る秘密の場所に向かって歩を進める。
△
僕が山田の影を踏もうと追いかけている間、景色はぐんぐんと変わった。
西日の眩しい上り坂を降りて山田と僕は、左手にある天神山(地元のちっちゃい山)の麓
(ふもと)の道路を勢い任せて走り続ける。
夕日に照らされながら、目の前の彼女は楽しそうに両手を伸ばしてトンビみたいに駆け抜け
ている。本当は下り坂の延長線上を真っ直ぐ行くと僕の家のある市街地の入口だった。けれど、
まだ行ったことのない景色を目掛け走り抜ける山田を見て、言いようのない気持ちを感じて、後
を追いかけ続けた。
1002Res/642.94 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。