462:卒業式(お題:パイプ椅子) ◆Qfu.mTwFskGG[sage]
2012/06/01(金) 09:30:35.31 ID:wtElJCM/o
思い返してみれば実に碌でもない人生だった。
男は天井の照明を目を細めて見つめながら小さくため息をついた。
「気分はどうですか?」
突然背後から甲高い声が聞こえた。
慌てて振り向くと、どこから現れたのか一人の少年が佇んでいた。
安っぽい半袖、半ズボンを身につけた少年の表情は深く被った鍔付帽子で隠されて判然としない。
「誰だ、お前は。どうして俺はこんなところにいる」
少年に得体の知れない恐怖を覚えつつも男はこの不可解な状況の疑問をぶつけてみる。
少年は男の質問には答えず、一つの扉を指差して言った。
「出口はあの扉です」
それは到底少年とは思えない事務的な口調だった。
少年は他に何も言わず、ただそこに立ち尽くし、男を見ていた。
男は考えあぐねていた。
表情を読み取れないために少年の真意を掴むことが出来ない。
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