5:さびしんぼ 1/6 (お題:ずる休み) ◆lIMoc3EH5Q
2012/01/24(火) 21:50:26.09 ID:8CCH9KsV0
大学と言うところは至極、自由なところである。高校の時のように縛られない。気分が乗らないときは勝手に
欠席なんて出来てしまう。ずる休みなんて簡単にできてしまうのだ。
「といってもちゃんと行かないと単位貰えないのよな〜」
思わず呟いたって誰も聞くでもない。私は、とぼとぼ歩きながら大学に向かっている。つまらない授業や、再
履修なんかで肩身の狭い思いをして受ける授業などは特に足が重い。授業に出てしまえば、適当に時間を潰した
り、内職(他の授業のレポートを良くしている)したりして過ごすので退屈しない。もとい退屈しないようにす
る。のだが、授業に行くまでが億劫なのだ。そんなものである。
そう言った億劫で憂鬱な気分に浸っている時は、たいてい注意が散漫になる。この時もそうだった。
気がつくと道端に備えている花瓶を蹴ってしまっていた。
「おお。あー、やっちゃった」
別に誰に言ううとでもなく、驚きと迂闊さを反芻する。
誰かがここで事故にあったのだろう。花瓶だけではなく、お菓子も備えられている。こどもが轢かれたのだろう。
お菓子の状態は新品同然。最近亡くなったのか。
「すまなかったな。あとでお菓子かって、供えるから」
その場は倒した花瓶を元に戻した。
「なんまんだぶ、なんまんだぶ。化けて出てくるなよ。頼むから」
心霊現象に遭遇したことは一度たりともないが、怖いものは怖い。独り言の最後には笑顔もサービスした。
これでたぶんでない。といいのだが。
授業が終わって、売店でチュッパチャップスを5個買った。あとミネラスウォーターも買った。お菓子は供え、
水は花瓶に注ぐつもりだ。これなら許してくれると思う。ちょっとやり過ぎなくらいだ。と買ってからは冷静に
なっていた。
大学は自由なところである。そして今日は気分が乗らない。そんな時はずる休みである。幸い今日は一限だけ。
出席数も大丈夫だろう。そう、二度寝である。
「……おやすみなさい」
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