518:空は誰よりも空気を読む(お題:小雨)3/3 』 ◆euRfGW8cm.[sage]
2012/06/11(月) 11:02:58.67 ID:U/cHPw7Q0
空を見上げると、透明の線が放射状にスルスルと光っていた。でも、ほとんど冷たくない小雨。
この路地を抜けると、ぞろぞろと投稿してる人達とすれ違う大きな道路に出る。
そうなると、きっと私の友達も、涼介君の友達も居て、グループが混じり合う。
二人っきりは後20秒。
別に何も期待していないよ、と表層の私は言ってるけど、深層の私は悔しい事に、大きな声で、叫んでた。
(雨よふれ!! いますぐに!!)
もし振るとしたら、雨雲からはすでに大量の雨が落ちてないといけない。ようするに、今から願って叶うとしても、もはや間に合わないんだ。
すでに叶っていないと駄目なんだ。
もう、路地の入り口から、学校の人達がまばらに見える。横を歩く涼介君は笑顔で前を向いて歩いてる。
もし・・・・・・もしだけど、つき合ったりなんてしたら、相合い傘なんて、普通の普通。当然以下の出来事なんだろうなぁと、ふと思った。
そんな普通の普通な出来事すらも、神頼みでないとできない私はなんて惨めなんだろう。
違うんじゃないの? 真由美の声が耳に響く。
「アンタが言うのかどうか、それだけでしょ?」
真由美の言う事はいつでも正論だ。だからこそ、難しい。
私は決めないといけなかった。
今言おうなんて、そんなすっとんきょでストイックな事は言わない。
だけど、私はいつか、言うべきなんだ。
私は涼介君の事を好きですって、ちゃんと、面と向かって言うべきなんだ。
いつか言う。すぐに言う。
・・・・・・そうだ、言おう。
後10歩ちょっと、10数秒だけの二人っきりの中で、私は静かに、決意した。
ちょっとしたことを、決める。
そんな簡単な事をしただけで、雨足が、最初はゆっくり、そして突然、強くなった。
涼介君はあわてて素早く傘を開いて、何故か自分よりも先に、私の頭上に差し出した。
流石に、優しすぎる人だった。
私は涼介君に、恋をしている。
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