過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)
1- 20
763:若さゆえ(お題ロリ)1/7 ◆InwGZIAUcs
2012/07/29(日) 23:52:43.72 ID:UA0tzlJN0
 駅前のロータリーを東に抜け、閑古鳥の鳴くシャッター街を横目に脇道に入るとその店はある。
 骨董と書かれたのれんに怪しげな香りのする店だ。
「こんにちわー」
 僕は躊躇いもなく、それこそ慣れ親しんだ友人の家に入る程度の感覚で扉を開けた。
スライド式の扉はすんなり開き、物々しい飾りが立ち並ぶ店内があらわになる。
「いらっしゃ――ああ、変態さんですか」
 店の店主は愛想を蹴飛ばし毒を吐く。やたらごってりとした装飾をした木製の机に座り、
怪しげなハードカバーの本というよりは書物を読んでいた。
 店主のマホさんだ。見た目からは想像も出来ないほどお歳を召している。
「ナチュラルに魔法使いのコスプレを着こなす人に言われたくないですよ」
「コスプレ? 聞き捨てなりません」
「分かってますよ! 突っかかってすみません」
 睨み付ける彼女は正真正銘魔法使いなのだ。だからこそ、こんな現代社会で浮こうがどう思われようが、
魔法塚いの格好でいる。なんでも格好から入るのが大事らしい。
「で、君は今日何の用で来たのですか?」
 居ずまいを正し、改めて僕に問う。
「いやあ、こないだ依頼した品を取りに来ました」
「依頼? ああ、これの事ですね」
 ガサゴソと乱雑にガラクタの山を掻き分ける……てか俺が受け取るのって商品だよね?
「これね?」
 そう言ってマホさんが手にしたは……。
「ん? 『心正品』とな? コレなんですか? 俺の頼んだのってこれ?」
「ええ、これは人の道を正す薬です。どんな変態でも一撃で真人間になりますわ」
「そうそう、俺はこれで明日から真人間なって人の役に立つ為――ってうおおおおおおいい!」
 泣いた。全俺が泣いた。
 これには流石にマホさんも後ずさる。
「違うでしょ? 違うでしょ? 僕が頼んだの違うでしょ?」
「わ、分かったからマジ泣きは止めましょう」
 苦虫を噛んだ顔をしながら、マホさんは僕の依頼の品を出す。
「はいどうぞ変態さん」


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/642.94 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice