831:脱走 5/6 ◆D8MoDpzBRE[sage saga]
2012/07/31(火) 00:58:12.58 ID:U4+w33in0
れる体験をしました。ことが果ててから気づいたのです。
すべてのコンドームに穴が空けられていたこともありました。子供を欲したのではなく、単に悪戯心がその動機のすべてで
した。
流石に何度も肝を冷やすと、次第に警戒心も育ってきます。窓を開け放つという手段もそうそう何回も使えるわけではあり
ませんし、避妊具もこちらで持ち歩けばいいだけの話です。
好奇心は猫をも殺すと言いますが、ニナは進んで自らを死地に向かわせているようですらありました。いつしか私はそんな
ニナを愛おしく思うようになっていましたし、必要に応じて彼女の手綱をたぐり寄せることこそが自分の役目だと思うように
なっていたのです。
足が付くと困るから。そう言って、ニナは身分を明かすようなものを置き去りにして、私の元に身を寄せるようになったはず
でした。大人しくしていさえすれば、そうたやすく足取りが割れることもなかったでしょう。にも関わらず、実際に彼女は刺激
的な性体験にかこつけて、様々な無茶を繰り返すのでした。
今にして思えば手持ち品から身元が割れるなど、そんなあっけなくも興ざめな幕切れは願い下げだった、ただそれだけのこと
だったのでしょう。年齢を敢えて隠していたのも、子供だと思われて相手にされないことを恐れたのかも知れません。もしくは、
単に面白半分に伏せていただけという線も有り得るでしょう。ともかく、足が付くことさえをも担保にして味わうスリルに、
ニナはただ酔いしれていたのです。
果たして、私の直感は正しいものだったと思い知ることになります。
ただし、最後まで私はニナの発想の上を行くことは出来ませんでした。
職場で、私宛てに問い合わせが来ているとの報せを聞いたのは、ニナと出会ってからおよそ半年後のことでした。受付に二人
組の男性が来ている、と。
何とはなしに受付に赴いた私を待っていたのは、いかにも尊大な態度の中年二人組でした。
「君の自宅から中学二年生の女子生徒が保護された。あとは、分かるな」
大柄な方の男が、周囲に聞こえるような声で言い放ちました。
終わりだ、と直感しました。むしろ、最後までとっておいたデザートにようやく辿り着けた、とでも形容すべき達成感すら
感じていました。
私は、今日の今日まで中学二年生の女子を自宅に飼っていたのです。ニナの口からは、敢えて年齢を聞き出しませんでした。
いつか、露見するだろうから。それを知ることが一つの達成だと考えていた私にとって、待ちに待った日がやってきた、ただ
それだけのことです。
なぜ中学二年生の女の子が、たった一人で宿を求めて高井戸駅周辺をうろついていたのか。なぜ私との生活が、私との関係が
警察関係者の捜査網にかかるに到ったのか。
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