過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)
1- 20
859:少年よ五百円玉を抱け 3/10 ◆1ImvWBFMVg
2012/08/01(水) 07:44:26.83 ID:idTh5FcP0
 空の光が急にいっそう力強く輝いた気がした。次の瞬間、自分はその場で気絶していた。


 気づくと自分は道の端に仰向けで寝転がっていた。こんな往来の真ん中でごろりと昼間
からである。常識では考えられないことだ。急にすこし恥ずかしくなり、大急ぎで起き上
がった。すると周りが少しだけこちらを見て、素早く視線を外してくる。
なんだろう、酔っぱらいにでも間違われでもしたのだろうか。慌てて埃を払い、何でもな
い態を装った。とはいえ自分の置かれている状況がつかめずすっかり泡食っていた。少女
もどこかに消えている。何がなんだか分からない。
パニックを起こしかけていた。だが段々とぼやけた意識が定まり、いつもの平静さをどう
にか取り戻せた。冷静になって推測するに、恐らくこういう事ではないだろうか。
募金に来たすてきなジェントルマンに、急な失神が起きた。慌てた少女は、取りも直さ
ず近くの店に助けを求め向かっていった。ジェントルマン、待っていて! 少女駆け出し、
舞台から退場。
一人残されるジェントルマン失神男。だが男は思ったよりもあっさり蘇ってしまっていた。
おお、愛しの君! なんというすれ違い!
ふむ……、ここはアレだろうか。次の場面で、心配している少女が肩を揺さぶり、そんな
少女を優しく抱きかかえる、シーンが繰り広げられる、これで間違いないだろうか。しか
しいい胸してたなあの子、あれはDカップ以上あるな楽しみだ。おっと早く寝転がらなけ
れば。 
さっそく先ほどの体勢に戻ろうとした、そのときだった。信じがたいことに、手にしてい
た五百円玉から頭に直接、某かの響いてくる声があったのだ。
『あの……もうお加減の方は大丈夫でしょうか』
 それは間違いなく少女の声だった。もちろん頭に直接きこえてくる声がだ。咄嗟のこと
でなぜか普通に受け答えしていた。
「あ、はい。すいません。いや失神なんて初めてですよ」
『ごめんなさい、さっきの失神は私のせいです。ちょっと上手く変換できなくて』
「へん……へんかん……?」
『はい、エネルギーが暴走しました。やはりこの観念的な姿が一番落ち着きます。あの姿
でいるとすぐ消耗してしまいますのでとても大変で』
 一体なにを言っているのだろうこの少女は。だがそのとき先ほど聞いた不思議な言語が
思い出された。うん? 頭に直接声。それで肝心の少女はどこにいるのだろう。
 汗が噴き出した。五百円玉を握る手を慌てて振り払おうとした。するとなぜか余計に強
く握りしめてしまった。自虐的な苦笑いが口の端を歪ませた。
『落ち着いてください。なんの危険性もありません。私はあくまで非現実的な存在ですか
ら。実体を持つあなたには何の効力も持てません。例えば絵本のなかのキャラクターみた



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/642.94 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice