991:あなたの声を祈りによって聴く可能性について9/10 ◆ihO9dxzf9I[sage saga]
2012/08/12(日) 23:44:31.08 ID:30xXBl/o0
7月27日(金)晴れ
兄貴が帰ってきた。お盆は帰ってこれないからテスト前に墓参りを済ませておくのだという。月曜になったら帰ると言
うので、また俺を踏み台に数学の土台点検が行われるのかと思ったが、今回は話があっちこっちに飛んだ。
因果律はアテにならず結果ありきで原因を措定する場合だってあるだとか、社会を分析してる連中は自分自身の分析は
全く行ってないだとか、大体自我なんてものはないんだとか、まあお前が高校でやってることなんて本当にくだらないこ
とだよだとか、輪をかけて不敵な人間になっていた。ああいう人間が学問に向いているんだろうか。
7月28日(土)晴れのち曇り
ベスト8のO高とベスト16のM高との合同練習試合。結果は二連勝。ベンチに下がった時広松が話しかけてきて、先
輩ってどうやって今の先輩みたくなったんすか、と訳のわからないことを訊いてくる。努力の源めいたものを訊ねてきて
いるらしい。俺よりもっと努力してる人間がいるからそれを真似してるだけだとしか言いようがない。
7月29日(日)曇り
今日もウチを会場に練習試合。駅で隣街まで練習試合に行くというサエに出くわした。明日の午後はオフだから遊びに
行かないかと誘われる。兄貴が帰って行った。大学に遊びに来いよ、面白い授業に誘ってやるから、どうせバレないだろ
うし、と言われた。お盆に帰ってこれない理由ってなんだったんだろう。
7月30日(月)晴れ時々曇り
川城や篠原も誘うのかと思ったが、二人きりだった。個人的に話したいことがあったというから期待してしまった。
でも、告白よりも厄介なことを話されたのかもしれない。
いつものドトールで待ち合わせ。服なんて何を着ていっていいかわからないから兄貴に見繕ってもらったが、サエはボ
ーダーのタンクトップにカットソー、デニムのショートパンツなんていう、すらりとした体に見栄えのする服装でやって
きたので、そこから落ち着かなくなってしまった。
注文もそこそこに、近頃なんかあったの、アンタ? と訊かれる。随分と気合が入っているように見えるから、ガス欠
してしまわないかと心配するんだそうだ。どこまで答えたらいいものかわからず、部活はキツいけど根詰めてるって感じ
ではないから大丈夫だよ、と言うと、将来の見通しでも立ったんじゃないかって思ってね、私たちには内緒で、とサエは
余所を向いた。目的が見つかったわけではないが、漠然とした方向性めいたものは出来かかっている気がする、ただそれ
を言ってどうなるものか、こうして書いている間もぼんやりとしているから結局、まだわからない、わかるまでの下準備
のための努力って感じかな、という曖昧な答えに留まってしまう。
別にアンタがどこに行こうと自由なんだけど、とサエは余所を向いたまま、一人でなんでも背負っちゃうっていうか、
努力の末に一人で十分やってけるなんて思っちゃったらダメだと思うんだよね、と言う。今の女バスもそんな感じでね、
皆が皆一人でやっていこうとしてる、三年がいなくなったから私がってところなんだろうけど、そんな風にいられる人っ
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