過去ログ - 妹の手を握るまで(その2)
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16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/29(日) 22:13:14.85 ID:EQn04HIIo
「はい。ああ、あたし。」
あたしは先輩に答えた。なるべく優しい甘えるような声で。

「わかってる、着替えたらすぐ出かけるから。いつものカラオケだよね?」

「じゃ、あとでね」
あたしは携帯を切った。

「あいつから?」
「お兄ちゃんが聞いた。

「少し出かけるから。お母さんには黙ってて」

「何で」
お兄ちゃんの声は今では震えていた。
あたしはお兄ちゃんの心を乱している。悪いのはお兄ちゃんだと思いながらもあたしの心は痛んだ。

「何でだよ! 俺のこと嫌いになったのかよ」
お兄ちゃんはきなりあたしの腕を掴んだ。

「・・・・・・別に。腕痛いよ、離して」

「待ってろっておまえが言うから待ってるんだぞ。それなのに何であいつと会いに夜出かけたりされなきゃいけねえんだよ」

「・・・・・・そうだね」

「・・・・・何だよ」

「これ以上は妹友ちゃんに悪いから」
あたしはついにその言葉を口にした。

「あ・・・・・・」
お兄ちゃんは呆然としてあたしの腕を放した。

「だからもうおしまいなの」

「ちょっと待ってくれ。話を聞いてくれよ」

「聞かない」
もう何も聞きたくない。あたしは必死でお兄ちゃんの言い訳を遮った。

「俺、おまえへの気持ちに気がつく前に妹友ちゃんに告白されて、それで」
お兄ちゃんは構わず話を続けた。

「・・・・・・付き合ってるんでしょ? 妹友ちゃんと」
あたしは静かに聞いた。

「いや、付き合っているっていうか」

「妹友ちゃんは親友なの」

「だ、だから聞けって」

「聞かない。あと、妹友ちゃんを傷つけたらお兄ちゃんのこと許さない」

「妹・・・・・・」

「出かけてくるね。お母さんに言いつけたかったら言いつけてもいいから」
立ちすくんでいるお兄ちゃんの横を通り過ぎあたしは家の外に出た。その間お兄ちゃんを見ないようにして。


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