過去ログ - 女神
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258:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/03/02(金) 23:40:00.72 ID:UsFI8avQo
・・・・・・結局その夜、女の家を出た時は夜の11時を過ぎていた。2回目が終った後、ぐったりとしながらも幸せそうに俺に寄り添ってもたれかかっている女を残して帰るのは気が進まなかったけど、よく考えれば俺は妹に今日遅くなることを伝えていなかった。女の家に誘われたことに有頂天になっていた俺は、妹に夕食はいらないと言うことすら忘れていたのだ。

「ごめんな」
 俺は玄関先まで送ってくれた女に言った。

「さすがにこんな時間に妹を家で一人にはさせておけないし」

 女は玄関先まで来ても俺の腕に抱きつくようにしたいたけど、それでもこの時はあっさりと答えてくれた。

「わかってるよ、あんたの家の事情は。今日は妹さんだって混乱してるだろうしね」

「あ、ああ」

 妹はさっき真っ青な顔をして小さな声で失礼しますと女に謝って逃げるように去って行ったのだった。俺は女と結ばれて幸福感に溢れていたけど、妹のことを考えると再び以前感じた胃の痛みが甦って来るようだった。

「ごめんね。こんな日にあんたを誘ちゃって」
 女が小さく謝ったけど、別にこいつのせいではなかった。本当に妹のことが心配なら俺が女の誘いを断ればいいだけの話しだったのだ。でも俺は女に誘われた時、自分の妹をフォローするよりも女との関係を深める方を選んだのだから、全ては自分の責任だった。とにかく帰宅して妹に自分の気持を正直にぶつける以外に、俺にできることはなさそうだった。

「じゃあ」
 俺は女に言った。・・・・・・じゃあじゃねえだろ。愛してるとか好きだよとか、何か言わなければいけないことがあるんだろうけれども、俺の口から出たのは愛想のない言葉だった。それでも女は嬉しそうだった。

「うん。またね」
 女は最後にぎゅっと俺の手を握ると、名残惜しそうに胸の前で小さく手を振り、家の中に消えていった。


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